泰果の「タイガ」はもちろん、タイガー・ウッズがその名の由来。
プロ入りを間近に控える。
東北福祉大4年のキャプテン、蟬川(せみかわ)さんが、大会コース新の「61」を記録。
土曜のリーダーボードであれよと疾走し、タイガ旋風を引き起こした。
首位と6差の33位タイで迎えたこの日。
後輩キャディの中村凜さんと、「よし、俺たちも12アンダーめざすか!」と威勢良く、前日の女子ツアーで山下未夢有さんが出した「60」の新記録を頭にインコースの裏街道から出て10番から連続バーディ。
15番では1メートルのイーグルチャンスも決まり、「あと4つくらい伸ばしたいな…」。
「…いやいや、今日は12アンダーなんで!」と、そこからリミット外しの猛チャージ。
8メートルを沈めた後半5番の連続バーディに続いて、7番から怒濤の3連続バーディ締め。
みゆうさんには1打及ばなかったが8、9番はいずれもピン根元の好ショットだった。
3差の単独首位で出ながら史上6人目のアマVを逃して泣き崩れた今年4月の「関西オープン」から成長著しい。
6月の「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」で、ABEMAツアー史上5人目のアマVを達成した。
昨年末に、アマ選抜のナショナルチーム入りしたことで、国際舞台の経験も増やした。
今月は、2年後のパリ五輪の予定コースで行われた世界アマで1差の2位で負けたが、初日から首位を走り続けた大活躍も今の自信につながっている。
コース近くの兵庫県加東市出身。
大学寮から一時帰郷の実家通いで「久しぶりに左右どーん、というロケーションに来て関西特有な感じがする」。
慣れ親しんだはずのレイアウトにギャップを感じながらも、「昔はこういうコースでガンガン振っていました」と“杵柄(きねづか)”を発揮。
「プロは伸ばし合いがすごいので、その中で僕が武器の 1W を使っていかないと勝負出来ない」とこの日は7番と、前日OBで、さすがに反省した9番以外は「覚悟を決めて打ちました」と、猛攻。
一時期「刻むゴルフを覚え出した」という時に、ガレスコーチに言われた「もっとドライバーで振っていけ」という助言も染みつきここ半年で、飛距離を15ヤードも伸ばした。
昨年覇者は、2年連続世界アマランク1位。
同い年の中島啓太は、学生試合で「同級生すらサインをもらいに行くくらい」のカリスマ。
今週も、中島のプロデビュー戦で「勉強したい」と、自ら練習ラウンドを申し込み、昨年のV争いでは「ケイタに勝って欲しい」と、真剣に願ったのは、世界アマメダルの価値をより高めるため。
「勝ってくれてこそ。やっぱりそうなんだ、と。だから勝てるんだ、と。僕にとってのいいものさしになる」と、願いどおりにプレーオフで勝ちきる姿に感銘を受けた。
同時に「ついて行きたい、追い越したい。ライバルと思っています」と、思いを剥き出す存在に、居並ぶチャンスがやってきた。
首位タイの最終組で改めて挑むのは、中島に次ぐアマVチャンス。
「ここで負けると負け癖がつくことは、経験上分かっている。ここで勝つか負けるかで人生が変わってくる」と、自ら背水の陣を敷く。
大会2年連続の偉業へ。
「克服しないといけない壁、と思って臨みます」と意気込みも、心地よいほど淀みなかった。