2年連続は史上初。
東北福祉大4年の@蟬川さんが、昨年大会の中島啓太に続く史上6人目のアマ優勝を達成した。
昨年覇者が、新勝者の名前を大声で呼んだ。
「タイガ、タイガ……、おめでとう!」。
中島が、一番に祝ってくれたが「泣きすぎて…」礼を言えたかどうかも定かではない。
「ケイタはいつも追いつきたい、追い越したい存在。自分ではライバルと思っている。ケイタが勝った試合で自分も勝てて嬉しかった」と、その肩で号泣した。
1差の単独首位から出て伸ばし合いのバーディ戦を引っ張った。
スタート寸前に入ったトイレで、拭いても拭いても噴き出した手汗。
1番の第1打は緊張と気合いで左に曲げたが、木の根元のラフからパーを拾うと「そこから意外と緊張しないでやれた」。
大学後輩キャディの中村凜さんに要所で励まされたり、和まされたりしながら「地に足着けてプレーができた」と、プロに紛れて堂々と、V争いした。
岩﨑亜久竜との接戦になった後半、13番から5連続バーディが決め手となった。
17番のパー3で奥5メートルのスライスラインをジャストタッチで決めるともう、こみ上げてくるものがあった。
プロも嫌がるトリッキーなコースでアイアンを持ったのは、この日も7番と9番だけ。
2差で入った18番も1Wを振り抜き、最後まで観衆を魅了。
最後、2メートルのパーパットを惜しくも外したとき、帽子を脱いで、観客に詫びるように見えた仕草は涙を堪えるのに懸命だったから。
アマ優勝への思いをいっそう強くしたのは今年4月の「関西オープン」だった。
3差の単独首位で出ながら10差で敗れて流した悔し涙を、半年あまりで感泣に変えた。
5月の「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」に続く快挙で、史上初のABEMAとレギュラー同一年Vの偉業も達成。「あの優勝で、自信がついた」と改めて感謝した。
兵庫県加東市の実家から、会場までわずか20分。
3年ぶりの有観客開催で、地元の期待を一身に負いながら、大会新の「61」を出した前日3日目と合わせて土・日だけで圧巻の17アンダーを記録。
「みなさんの応援を力に頑張りました」などと泣き声のVスピーチをそばで聞きながら、中島が言った。
「僕の時は無観客でしたので、プレッシャーが全然違う。タイガくんは本当に凄い勝ち方をした」と、日体大キャプテンが、ライバル校の主将に敬意を表した。
この優勝で、セカンドから受ける予定だったQT免除。
プロ宣言し、JGTOのツアーメンバー登録を済ませばいつでもシード選手として活躍できるが、それは秋の大学対抗戦を終えてから。
「自分勝手にしたら監督がいい顔しない」と、神妙な笑顔で「また決定したら、発表させていただきます」。
プロのタイガドラマも楽しみだ。