輝かしい実績以上に、常に賞賛を集め続けるのがその人柄だ。
日本ツアーの出場は、通算10回目。
今大会は、3年ぶり6度目。
屈指のナイスガイが、ナショナルオープンに戻ってきた。
豪州のアダム・スコットが、今回もすでに開幕前から多くの人々をとりこにする。
来日してすぐの月曜日は、兵庫神戸で行われたジュニア育成プログラムに参加。
地元関西在住の中・高校生25人にトッププロの技術やプロゴルファーとしての心構えを伝授した。
未来を背負う若者たちに、「強い選手になることも大事ですが、周囲へのリスペクトや感謝の気持ちを忘れないで」などと講義後は、今度ジュニアたちの夢や決意に真摯に耳を傾けアドバイス。
一人一人と視線の高さを合わせて語り合う様子は、ジュニアたちへの思いやりに満ちていた。
開幕前日の19日に、練習ラウンドを共にした石川遼は「夢みたいな時間。幸せ過ぎます」と、陶酔した。
最近のゴルフの取り組み方や、スコット自身が試行錯誤を続けているというスイングのことなど、「大先輩なので。こちらからはなかなか聞けない」と遠慮してしまうようなことでも自ら腹を割って、熱く語ってくれたそうだ。
「42歳になっても変わらない美しいスイングや、体力維持の方法など。トップクラスの選手の頭の中をほんの少しでも共有してもらえたことに感動した」と感謝し、「人としても素晴らしい方ですし、もともと大ファンなんですけど、ゴルフに対する考え方とか愛とか熱とか。好きすぎて、ほんとヤバいです」と、ますます心酔していた。
事前の会見では、「40歳を越えてくると健康や肉体に気を遣わないといけないのは間違いない。でもまだまだ最高のレベルでプレーできると思いますし、スイングスピードも若手に対抗できる。さらに上を目指してプレーしたい」と語ったスコット。
金谷拓実や中島啓太らを育てたアマ選抜チームのガレス・ジョーンズ氏とも親交があるといい「素晴らしいプログラムのもと、世界アマランク1位者を次々と輩出しており、いまは日本のゴルフ界にとっても大変楽しみな時期」と、高評価を示した。
この日の練習ラウンドでは石川のほかに、先月史上6人目のアマVを達成した蟬川泰果(せみかわ・たいが)さんも交えて「彼も素晴らしい選手だと思いました」と、絶賛していた。
PGAツアー14勝のほかに、欧州、アジア、南ア、豪州でも勝ち星を重ねるが、日本ツアーは未勝利だ。
日本メイドのウェアメーカー「ユニクロ」と契約し、自称「ゴルフオタク」は今年6月から、日本のクラブメーカー「三浦技研」のアイアンを愛用。
今週、月曜日には兵庫県姫路市の同社を訪問したそうだ。
「日本のみなさんとは良い関係を築けていると思いますし、いろんな方々にサポートも受けています。恩返しという意味でも勝ちたいと思っています」と今年こそ、日本での初勝利を夢見た。