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マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2022

蟬川が奇跡の1打で決勝進出「明日からまくったろ、と」土日のタイガチャージで猛追だ

“プロ5日目”の蟬川泰果(せみかわ・たいが)が2日目の「68」で、通算2アンダーまで上昇。40位タイで、決勝進出を果たした。



この日、最初のバーディで奇跡の1打が飛び出した。

インスタートから出て2ホール目の11番は、ドライバーを振りちぎったティショットが右へ。隣の12番を隔てる林向こうの小山のほうまで飛んだ。

土がむき出しの地面は、つま先下がりの窮屈なライと、前方には推定25ヤード越えの高い木々。


大トラブルである。


でも、怖い物知らずの新人は、前組が12番ホールのティショットを打ち終わるのを待ってから、わりとあっさりとグリーンに向かって構えた。

「右から15ヤードくらい回して打ちました。けっこう上手かったんじゃないか」と、自画自賛の1打は枝を避け、腰をかがめたアドレスから「120ヤードのエッジまで60度でギリ」と、ウェッジを振り下ろした渾身の1打は高々と舞い上がり、無数の木々を越えてなんとパーオン。



しかも、右6メートルに乗っけた下りのフックラインもあっさりとジャストイン。

同組の石川遼も、惜しみない拍手で称えた。
金曜の平日でも数を減らさなかった地元の大応援団がどっと沸いた。


「タイガー・ウッズや…!」と、歓声に紛れて声を上げたのは観戦中の父・佳明さん。

果敢に1Wを強振し、たとえブン曲げても、ありえない状況からチャンスをモノにする姿は、まさに息子の名前の由来にもなった英雄さながら。

「不安はありましたけど、乗ってると言われて。まぢかー…」と、本人も目を剥いた奇跡みたいなスーパーショット。

「予選カットもありますし、ここはパーで上がらないといけない。少しリスキーに攻めたつもり。魅せられたかな?」と、会心の一撃を契機に13、15番と順調にスコアを縮めてカットラインを楽々とくぐると、前半最後の18番では1メートルからバーディ締めも決まった。


出遅れたデビュー初日は、「良いプレーを見せたくて。ガンガン行こうとしていた」と、前のめりすぎたゲームプランを修正。
「今日はマネジメントを考えました」と6バーディ、2ボギーで賢く攻略してこられた。


「昨日は“入れたいなー”くらいで覚悟がなかった」と決めあぐねたパッティングも女子通算7勝で、大学OGの佐伯三貴(さいき・みき)プロのおかげで復調できた。

後輩のデビュー初日を相伴したあと「ゲームしてみよっか」との誘い文句につられて蟬川が始めたのは4方向から2メートル強を連続10回沈めるまで続ける練習だ。


達成まで小一時間かかったが、「今朝の練習までにカチっとハマる寸前まで行った」と、徐々にタッチを合わせてデビュー戦の予選通過にこぎ着けたが「きょうはもうひと越え。あと6個7個はいけたかな…」と、それでもちょっぴり悔しそう。


ずっとついて歩いていた男性が、「この子、加東市の子やねんで」と、突如生まれた地元の新ヒーローを自慢していた。
「これだけ注目していただいていますので。明日から行けるとこまでまくったろ…と、思ってます」。
土曜日の“タイガチャージ”にも期待が集まる。

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