中央には今季のMVPを手にしたばかりの岡本史朗さん。
先週の「カシオワールドオープン」で、賞金王が決定した比嘉一貴(ひが・かずき)を2019年から支えて今季4勝を含む、通算6勝すべてをアシスト。
先週の会見で、今年からコースメモを持たずに戦っていることについて、比嘉は「もちろんキャディの岡本さんがしっかり距離を計算してくれるからできることであって…」などと話したが、岡本さんは直接、比嘉からそんな話を聞いたことはない。
「彼は寡黙だからね。俺には言わないよ」と、知り尽くしているからこそ人づての賞賛が、岡本さんには余計に嬉しい。
キャディ間でナンバー1を表彰する「キャディ・オブ・ザ・イヤー」の受賞連絡を受けたのは先週末。
留守の間に受賞記念のパターもそろそろ自宅に届くころだが、岡本さんは比嘉にまだ自分の“戴冠”を伝えていない。
「俺もまだ、カズキにおめでとうを言ってない。だってまだ今週もあるから」と、共通の目標は、もちろん今週の有終の美。
シーズン最終戦の今季5勝でV賞金4000万円なら、2001年に伊澤利光が稼いだ2億1793万4583を超える史上最多の2億2004万1233円。
「試合数も当時より少ないこの時代にもし実現できたら、こんなかっこいいことないじゃない。ぜひやらせてあげたいなあ…」と切実に、「それができるまではおめでとうは言わないよ」。
そんな2人の関係性を羨ましそうに眺めるのは、現在賞金ランク3位の堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)を担ぐ吉田心さん(=写真右)。
キャディ業に加えて動画チャンネルの撮影と編集と、さらにマネージャーも兼業し、今季2勝のうち「マイナビABCチャンピオンシップ」では、吉田さんに代わってバッグを担いだ堀川の所属先「ウェーブエナジー」の社長さんのお世話係としても大活躍した。
堀川からの信頼は絶大だが、「比嘉選手と岡本さんの素晴らしさには負けてます」と、完全降伏。
最強コンビには敵わなくても、賞金2位争いにはまだチャンスが残っている。
「差は1500万円ほどなので、今週勝てば僕たちが確実に抜けるんです」と、写真向かって左向こうの星野陸也のエースキャディの薬丸龍一さん(=写真左)をちらっと意識。
「いや…相当意識してます」と、虎視眈々。
「ここに、さらに4位のあぐり(岩﨑亜久竜)が入ってくると、またいろいろややこしくなるんですよ…」と、難しさは次の番手の距離計算以上だ。
賞金王はもう決定したが、キャディさんたちにとっても今週こそ集大成。賞金レースはまだぜんぜん決着してない。