戸張氏は、同局で「全英オープン」の中継が始まった1982年から、また青木は1991年から携わり、軽妙な掛け合いを続けてきた。
加えて、青木は選手として1977年大会での初出場から9回出場し、セントアンドリュースで行われた1978年大会では7位に。
あれから44年の今年、当地で行われた150回大会での勇退。
中継ブースに座るより、現場を歩いてマイクを握るスタイルを好んだ青木は、最終日のこの日も戸張氏と、来月80歳の健脚を見せた。
放送の最後には、オールドコースの最終ホールで戸張氏と、肩を並べて勝者誕生の瞬間を見届けながら、「懐かしいな…」と、大粒の涙をこぼした。
「ずっとここにいたいね」と、戸張氏。
青木も、声を引きつらせて「ずっといたい…」と、ちぎれる思いだ。
「30年もテレビ朝日さんに解説でお世話になり、いつ引くかいつ引くか、と思っていたが今年150回大会。時代なんだな…」と、涙ながらに脱帽し、「ここで最後に語れるなんて。時代が変わるときに、自分がいられてよかった。ゴルフ発祥の地で、お別れができてよかった」と噛みしめ、「ありがとうね。俺のゴルフ人生、幸せだよ」。
青木と共に引く決意をした戸張氏は、「青木さんの涙をみながら、僕もこらえて喋っています。全英オープンは、そういう感情、気持ちを与える大会と知っておいてもらえると嬉しい」と、話した。
放送終了間際にはつとめて快活に、「これからの人生、日本でやろう」と、青木。去りがたい思いを堪えて、最後は笑顔で涙をぬぐった。