それが富士桜の戦い方だ。
プロ4季目の片岡尚之(かたおか・なおゆき)が、2日目を通算4アンダーの4位タイで終えた。
全長7424ヤードの富士桜は例年より長く伸びたラフと硬いグリーンがさらに怪物の牙を剥く。
「乗んないんで、このコースはワンパットのパーになっちゃう。距離もありますし今年はほんと硬いので。手前で止めようと思うとグリーンの手前で止まるし、キャリーで行こうとすると、奥のラフに行っちゃう。ボギーを打ったら打った分だけオーバーになる」と、前半12番でボギーを先行させたらよけいに弱音が止まらない。
16番ではティショットを池に入れたが、ドロップゾーンから打ち直した第3打をピンにくっつけ、なんとかボギーに収めた。
1オーバーで折り返した後半は、4番でアプローチをミスしてまたボギーとしたが、この日は終盤にあたる、6番、8番のチャンスホールが待っている。
「この2ホールを楽しみに、前半ずっと耐えてきました」と、言ったとおりに6番パー5で2打目を刻んでチャンスにくっつけ連続バーディ。
8番でもしっかり伸ばすと、思わず深いため息がこぼれた。
「このコースはドMにならなきゃやってられない」と、悲鳴もこぼれた。
「普通はバーディ獲るのが楽しいじゃないですか。でもここではどれだけナイスパーを奪えるか、どれだけパーで喜べるか。そういう気持ちでやっています」。
2020年のプロ転向はコロナのまっただ中。
その年は、軒並みトーナメントが中止となったが、それでも選手のためにと開催してくださった本大会がデビュー戦だったが、初日の18番ホールで真横に飛んだティショットが管理棟まで行って、トリプルボギーを叩いたのは忘れもしない。
マゾヒスティックな戦いは、プロ人生初日から始まっていた。
「普段の自分はSっぽい? ・・・知らんけどw」。
難コースは性格をも変える。