45歳が絶好のスタートを切った。
武藤俊憲(むとう・としのり)が、3メートルを沈めた3番のイーグルと、ボギーは10番と12番の2つ。6バーディは、最後9番で10メートルを沈めて、「65」。
18番では池ポチャパーのナイスセーブもあり、「チャンスはほぼ1ピン内。短い1メートルぐらいも外しているし、まあいつも通り」と苦笑し、「久しぶりに僕らしいゴルフができた」と、納得のコメントが飛び出した。
先週優勝の谷原秀人(たにはら・ひでと)は同学年だ。
「あと(小田)孔明や近藤(智弘)くんも。みんな同じ世代ですけど、若い波にのまれないように。存在感を出したいな、と思ってやっている」と、仲間が刺激になるのはもちろんだ。
「あと、週替わりなのもみんな一緒」と、ミズノさんに頼んで角度を変えたり、シャフトを変えたり、重さを変えたり改良を重ねた今年5セット目の新クラブはすでに自宅に届いており、おろすのを待つばかりの状態である。
体調管理も切実だ。
ヒカリものの魚脂が効くと聞けば、ネット通販のDHAサプリに飛びついたり、その流れで今週の北海道は、ほぼ寿司通い。
今年5月の連休には若い新進気鋭のパット専門コーチに教わり、再納得したり、新たな発見をしたり、日々落胆や成長や、向上の毎日の中で今週水曜日に、プロアマ戦で回った名球会の2人の逸話にうろこが落ちた。
広島カープの代名詞といってもいい山本浩二さんと野村謙二郎さんが語る、激動の野球人生は、今の自分に重なることばかり。
たとえば、若いピッチャーとベテランのバッターの勝負。
「打てるもんなら打ってみろ、という球を投げてこられたときに、そういう球を打ち返せる時もあるし打てない時もある。その中で、チームとして必要とされていないなと思う時もあって、その中でどう自分の中でモチベーションを作っていくか。どう練習していくか…。やっぱり、同じなんだ、と。野球人生の初めから終わりまでを知っている方から話を聞けたことは財産になる」。
開幕前に、そっと胸にしまった。
「応援するよ」と、2人からの励ましの言葉で楽しいひと時を閉じた。
「応援に応えられてよかったです」と、お2人のおかげで初日の好発進にしみじみさが増した。
2001年にプロ転向して22年目。
プロ6年目の2006年「マンシングウェアオープンKSBカップ」でツアー初優勝を飾ったのを契機に、17年で通算7勝。
16年目の昨季は賞金シード落ちを喫して、17年ぶりに受験したQTで、2位に。
「若い時はぼくらも、こんな風に見られていたんだな、と今は2歩も3歩も引いた立場で若い選手を見られているので何か不思議な感じ。あっという間と言うか、気づいたらというか…」と、現状を客観的にみられるのもベテランの妙だ。
「若い人には負けちゃうんですけど、その中でもどこまでできるのか」と、明日を占う45歳。
「先週の谷原みたいに勝てるときもある」と、つぶやいた。
「僕の目標はあくまでも“谷口徹”」と、師匠と仰ぐシニアの名をあげ、「谷口さんのように、50歳までやりたい。50歳で勝ちたい。あと5年ある」と、力をこめた。