20代不在の最終日最終組は、今季初だそうだ。
50回目の土曜日は、久しぶりにアダルトなリーダーボードになった。
9番の1イーグルと、上がり2連続を含むバーディ6つと「やっとこ」ボギーはバンカーに3度も入れてしまった2番のひとつだけ。
この日ベストスコアの「65」を記録し、首位タイに急浮上した宮里優作(みやざと・ゆうさく)は、43歳。
「これだけ長く大会をやっていただいるので、よくも悪くも知っている。攻め方のポイントを間違えないことが鍵」と、ベテランの技と経験と、マネジメントの妙でアピールした。
本大会は、2008年と2014年の3位と2011年の6位と、年間4勝で選手会長・賞金王に就いた2017年の4位とトップ10が4回。
でも、芥屋ゴルフ倶楽部は欧州ツアーに参戦していた(18ー21年)の間に改良が一気に進んだ。
「距離が長くなり、バンカー位置も変わり、アゴも高くなり、越えないバンカーが出てきた。ドローボールを打たないと行けないことも多くてあまり得意ではなかった」と、強まる苦手意識を必死に払拭。
土曜日の猛追は、今までより0.75インチ短い45インチの1Wでミート率を高めて安定感を追求し、「広い方へ、広い方へ」と、手堅く賢く攻めた結果だ。
今の若手は「4日間フルスイングして、スピードが落ちない。道具もあるが、飛距離に特化した体になっている。それが特徴」と、脱帽するばかりだ。
「ちくしょう、はない。レベルが違いすぎて・・・」と、観念する。
「僕の時代は若手がだらしない、と言われてすいません、と謝って。今は中堅がそのまま上がって、いまだに言われる」と、苦笑しながら必死に抵抗。
「僕らは、そういうことはできないので。張り合うと、どつぼにハマる」と、プレー中はあえて視線を背けて「いかに省エネで回れるか。それと正確性。彼らはピンをデットに打つけど僕らはマネジメントしていかないと」と、持てる技術で張り合う妙こそ「若手のおかげ」と、あえてひれ伏し感謝する。
練習場では、さすがに真似はせずともときどき河本力や、清水大成など、飛ばし屋のスイング動画を撮るのも「どうやって振っているのか。体の動きを見させてもらう」と、探究心は枯らさない。
47歳の小林と共に、自身2年ぶり30回目の最終日最終組に加わり、「加齢臭が漂う組になるけど大丈夫・・・?」と、可笑しそうに笑うが、独身者が大半の若手に比べて、家族を力にするのもベテランならでは。
この日は、中3の長女・萊杏(らん)ちゃんが、名古屋⇒博多の新幹線一人旅。
駆けつけた途端のパパのサタデーチャージに「私の応援のおかげなら嬉しいな」と、すっかり大人びた声で言う。
6年ぶりのツアー通算8勝目なら、生涯獲得賞金9億円越え。
「ほんとうに?! パパって凄い・・・」。
娘の歓喜のためならなおいっそう頑張れる。