本人ならなおさらだ。
もつれにもつれて並んで入った18番。
谷原秀人(たにはら・ひでと)は先にひとつ前の組で上がっていた。
長野泰雅(ながの・たいが)は、奥から1メートルのバーディパットに臨んだ。
通常なら「左の縁に打てば入る」と、強気で入れ込む距離である。
「手が震えてました」。
絶好のチャンスを外した。
「思ったところに打てたつもりでしたが、ちょっと強かったかもしれません」。
スタート時は「なかった」という緊張は、最後の最後に来た。
18番は、フェアウェイ真ん中を捉えたティショットも、右の傾斜を上手く使って寄せたセカンドショットも、実は「怖かった」と明かした。
プレーオフが決まり、いったんクラブハウスに戻って提出した本戦18ホールのスコアカードも「手が震えて汚くなった」という。
18番に戻った1ホール目のティショットは「右にすっぽ抜け」。
林に入れてボギーで破れた。
「もったいない。チャンスが獲れなかったのは悔しい」と落胆したが、ハタチの健闘にサトウ食品から「圧トゥー的賞」の「サトウのごはん1年分」をいただいた。
「たくさん食べて、もっと大きくなって頑張ります」と堪えて前を見た。
優勝の谷原秀人は、「今週は予選ラウンドを一緒に回って、常に50ヤードも置いて行かれた。ほんと強敵」と絶賛し、かねてより、回ってみたい選手に長野を推していた。
期待を裏切らない若さ溢れる長野のプレー。
「これ以上何も必要ない。そのままやっていれば大丈夫」と、次の機会の初Vを断言した。