2位と3差で出て、最後18番を3差で入った。
「優勝できるんじゃないかと思ったら、めちゃめちゃ泣きそうでした」とバーディ締めの4差で逃げきり、目頭を押さえた。
昨年10月のプロ転向から6戦目。
「期間で言ったら短いかもしれないですが、僕の中では長かった」と、吐露した。
猛々しいガッツポーズを握った史上初のアマ2勝から、まだ半年ほど。
でも、あまりに華々しい実績が、逆にプロ後の重しとなり、「アマチュアで凄い成績を出してもお金がかかったらどうなん?とか」。周囲の評価を気にしていた。
昨年のプロ2戦目「三井住友VISA太平洋マスターズ」は最終日を単独首位で出ながら8位に終わり、「負けた印象が根付いてなかなか勝てないんじゃないか」と、恐れた。
年明け米初戦の「ソニーオープン」を含む海外5戦も「予選通過は3度だけ。通用しないと言われるんじゃないか。見えない壁が出来ていた」。
アマ時の自分にがんじがらめの呪縛を解く、安堵のプロ初優勝だ。
今年88回を迎える「関西オープン」は、中3の2015年に初出場したプロの試合で、「下から数えたほうが早かった」と、144位で予選敗退。
それから8大会連続で出場し、昨年は2日目に首位に立ったが、最終日の「77」で17位に崩れて号泣。
「今年はリベンジしたかった」と、9年分の雪辱も果たした。
「あの頃を思えば成長しました。前よりレイアップもしますし、バリエーションも増えました」と、ドライバーの一点張りからも卒業。
「以前はとにかく前に、前にでしたが、今は刻むなら刻む。攻めるなら攻めると丁寧に。パットもフック、スライスと決めてから。悩まずに打つというのを心がけた」と、新境地を開いた。
3差で入った最終ホールの2打目は、初タッグの清水キャディと「手前は絶対にダメ」と3Uで、2人の狙いどおりにあえて左のバンカーへ。寄せて1パットのバーディでしっかり締めた。
蟬川のプロ初勝利は清水キャディにとっては、男女通算40勝目だそうだ。
「失敗して、落ち込んだ時に、清水さんにポジティブな言葉をかけられ気持ちが楽になった。さすがやな」と、百戦錬磨の手腕に感謝。
兵庫出身の蟬川と、大阪出身の清水キャディの関西コンビが思い入れの地元「関西オープン」で、にしきを飾った。
昨年大会は、大学先輩の比嘉一貴が優勝した。
「僕も比嘉選手のように、賞金王が獲れるよう頑張りたい」と蟬川。
清水キャディも「これから間違いなく賞金王を争う選手」と、断言した。
タイガドラマのプロ編が、いま始まる。