その場ですぐプロ転向を決めた杉浦悠太(すぎうら・ゆうた)を祝福し「頑張って」とエールを贈った。
比嘉にとっては、10位タイで終えた本大会が今年最後の日本ツアー。
翌月曜日にはすぐ豪州に飛ぶ。
欧州・DPワールドツアーの24年開幕戦から2連戦する予定だが、その後の出場予定はまだ不透明だ。
昨年の賞金王として資格を得て、今季は20試合に出場して、トップ10は2月「ヒーローインディアンオープン」の2位と、久常涼が優勝した「フランスオープン」の4位の2回だけ。
ポイントランキングで120位に終わり、来季のフルシードには至らず、24年はさらに出られる試合数が限られる。
毎週のように国境を渡り、違う国、違うコースで闘う旅は、それはやっぱり辛かった。
本人は「思ったほどフードロスはなかった」と気丈に言ったが、「田舎のコースでは夜、ホテルに戻ったら店がどこも開いていない。ほとんど何も食べずに明かした日もあります」と、随行した神田キャディ。
フランスで久しぶりに日本食の店を見つけて、鰻丼をテイクアウト。部屋でワクワク明けたらごはんが酢飯でがっくりきたこともある。
飛行機の遅延や欠航は日常茶飯事として、向こうではなぜか風呂の湯船がすぐ冷めることもストレスに。
「体が冷える」と、よそにサウナを探しても、怪しげな名前ばかりでさすがに勇気が出なかった。
「やっぱり日本は何でも整っている」と痛感した今シーズン。
一番堪えたのは「成瀬さんに看てもらえないこと」と、言った。
日本ツアーに転戦していたときは、JGTOの公式トレーナーが常駐するフィットネスカー「プレジャー」に毎夕、通い詰めて、献身ケアを受けられた。
向こうでも、ストレッチやトレーニングは成瀬トレーナーから教わったメニューでなんとか代用はできるが、「やっぱり、体を壊さないかの不安はつきまとう」と、先週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」から国内連戦では、今夏以来のケア三昧。
体を看てもらいながら、スイングチェックをしてもらえることもありがたかった。
「先週、今週と、久しぶりにいろんな人に会えたことも嬉しかった」。
本戦では初日から3日続けて、中島啓太(なかじま・けいた)と回った。
現在の賞金1位は、「僕とはプレースタイルが全然違うし、僕なんかよりずっと上手い。賞金王にもなるべくしてなれる選手」と、頼もしく見ていた。
今年も引き続き、賞金上位3人には、欧州・DPワールドツアーの出場資格があるが「僕は結果が残せなかった方なので。聞きたいことがあれば、(星野)陸也や久常(涼)に聞いたほうがいい」と、苦笑をするが、「行けば必ず得るものがある。ぜひ、行くべきとは思います」。
日本ツアーでやるみたいに、かゆいところに手が届く環境が望めないのは当然のこと。
それを手放してでも得られるものを探しにまた旅に出る。
家族とも、またしばらく離ればなれになるのは寂しいが、まだ旅はやめられない。