「この大会に出ることを、ずっと目標に頑張ってきた」と前日水曜日に、目尻をますます下げたのは、正午すぎに家族が、帰省中の青森から羽田空港に到着するから。
「ちょうどいま飛行機乗ってます」と練習を、早めに切り上げちょうど迎えに行くところ。
3歳の長男・永玖(りく)君と、0歳の次男・福(ふく)君はかわいい盛り。
「子どもがゴルフ場に来てくれるのが嬉しくてしょうがない」と、出迎えの足もつい急く。
普段のツアーでは、最終日に首位と3打差以内なら応援に来るというのが妻の絢香さんとの約束だが、この大会ばかりは特別だ。
「初日から行くと言ってくれて」と、デレデレした。
一家にとっても晴れ舞台。
悲願の初出場を現実のものとしてくれたのは、2人の偉大な先輩による。
「毎年、秋口からこの大会を目標にしながら、出場に届かなかった要因はパッティング」と、試行錯誤の竹安に、特別レッスンしてくれたのは大学先輩の岩田寛だ。
3週前の三井住友VISA太平洋マスターズの週。
「僕のクセとか、選手同士でしかわからない感覚の部分。お願いしたら、1時間くらい教えてくれて。そこからめちゃくちゃよくなった」と、翌週の「ダンロップフェニックス」で4位タイにつけ、今季4度目のトップ10入り。
まず前週の賞金41位から34位に飛躍した。
同週には、国内初参戦した大学先輩の松山英樹から「もうちょっとでJT行けるね、頑張ってね、と言ってくださって。嬉しかった」と、それも大きな励みに。
「僕の結果とか、見ていてくださっているみたいで」と、さらに先週の「カシオワールドオープン」では7位に。
賞金28位での初切符に「頑張りたい」と、おのずと気合が入る。
勇んで来た会場の東京よみうりカントリークラブは想像以上の恐ろしさだった。
特に、魔の18番パー3はテレビで見ていた限りでは「さすがに、そんなに急ではないだろう、と」。
タカをくくってきてみたら、「え、これダイジョブ?みたいな…」と、絶句した。
「面白いですね。ドラマが生まれるのも分かります。ほんとに凄いグリーンで感動しました」と、恐れながらも今からワクワク。
長男の永玖(りく)くんは最近、ゴルフを覚えて「パパ、ちゃんとカップ見て打つんだよ!」と“指導”されるそうだ。
「めちゃくちゃグリーンが難しいのでマネジメントは大切ですね」と、息子の“教え”を反芻し、「調子が良いのでいけると思います。かっこいいところを見せたい」。
どんな高速グリーンも、家族の前なら攻略できる。