3打差の3位タイから出た最終日は、2番でダブルボギーを打ってもくじけなかった。
5番と7番、9番、11番のバーディで這い上がると12番では255ヤードの2打目を5Wで右奥7メートルに乗せたイーグルトライも沈めた。
逆転に成功したが、2打差で入った最後18番でまた窮地を迎えた。
「バーディなら確実に優勝」と、力んだティショットをみごとに「チーピン」。
左の林の中に入れた。
208ヤード先のグリーンは木と木の隙間にわずかに見えるだけ、という絶体絶命の場面で、岩﨑はなぜか笑った。
笑いながら、5アイアンを持ち「練習場でやった低いドローがイメージどおり打てました」と、グリーン手前のラフに運んで1パットのパーセーブ。
「楽しいね、と言ってました」と、キャディの湯本開史が明かす。
初優勝を飾った昨年の「日本オープン」でも「優勝争いって楽しいね」と言いながら、最後18番で右の林の中からグリーンを捉えて、石川遼を2打差で下したそうだ。
当時は、前年賞金3位の資格で欧州・DPワールドツアーを転戦したが、手も足も出ずに戻った直後。
傷心を国内メジャー制覇で払拭している。
今年はその「日本オープン」のV資格で7月の「全英オープン」に臨んだが、2日目に91を叩いて最下位で予選敗退。
「決勝に進んで上のほうで戦いたい、という気持ちが本人も強かったので。悔しかったと思う」と、キャディの湯本。
「でも中途半端に通るより、恥をかくくらいのスコアで落ちてしまったほうが、彼は絶対強くなる」と、にらんでいたとおりに、黒宮コーチと取り組んだ帰国後の練習量は、小5から岩﨑を知る同い年の湯本も目を剥くほど。
「こんなに練習するのだから、また必ず立ち直る」と、湯本も信じて疑わなかった“大バウンスバック”は輪厚で達成された。