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三井住友VISA太平洋マスターズ 2024

実行委員長Vの次はアンバサダーV。石川遼には頭が下がる

大会最多の4勝を飾った石川遼の優勝会見は、1時間7分に及んだ。
谷原らと並んで迎えた最終18番ホールの心境や、6番のティショットで見せた直ドラの意図や、昨今の若者事情やこだわりのユーティリティアイアンのことなど。

先月の日米共催「ZOZOチャンピオンシップ」の2日目に17番でショットインイーグルを達成した“4U”には、米のクーチャーも興味津々だったそうだ。

こんこんと湧き出てくる逸話を時にユーモアを交えて面白おかしく語ってくれる。
石川の会見は何時間あっても足りないし、何ページあっても書ききれないくらいだ。


    ツアー初出場の15歳で最年少Vを達成し、33歳で到達した通算20勝目は、史上5番目の年少記録となった。

    「僕の場合は初めてプロの試合に出て優勝、っていう最高潮から始まっちゃったので。そこからの波はすごくあった」などと、この18年は、理想と現実のギャップで苦しむ時期も長かったと明かした。

    「それまでは独断でやってきて、自分の持っていた引き出しをすべて明けたのが2019年。その年3勝できたんですけど、ごまかし能力が限界にきた。天井が知れたなというのが2019年」。

    その翌年2020年から田中剛コーチにつくのだが、2人で始めたスイング改造は、もうとっくに完成していて、「目指した理想以上になっている。まさかここまで来られるとは」と、いうほど手ごたえを感じているそうだ。

    「練習してきたことがコースで出来ないと、練習していないことをコースでやろうとするのがこれまでの悪い癖。田中コーチとそれはやめようと」。

    今は、1打1打に2人で構築してきた根拠があるから惑うこともない。
    「今年の中では4日間を通して一番良いマネジメントができた」と、自信と確信の20勝目だ。



        「正直、そこまで強い思い入れはない。優勝は素直に嬉しいですが、20という数字にはあまり実感がない」と、語るが現在ツアーでは尾崎将司(94勝)、青木功(51勝)、中嶋常幸(48勝)、尾崎直道(32勝)、片山晋呉(31勝)、倉本昌弘(30勝)、杉原輝雄(28勝、故人)の7人しかいない永久シード入りまであと5勝。

        賞金も5位に浮上し、外野のさまざまな期待はおのずと高まる。

        10代で9勝、20代で8勝、30代で3勝目に到達した。
        「10代から突っ走ってきましたけど。それでもまだ33歳なんだ、って。自分としては、これからが勝負だと思っています」と、まだまだ走り続ける。

        大会実行委員長Vを飾った6月の選手会主催大会「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」に続き今季2勝目は、アンバサダーV。

        開幕前に地元高校生に講義し、初日にはゴルフクリニックを催し、3日目には記念撮影会。
        ホストプロとしてイベントに奔走しながら、最後はきっちり自身の優勝で大会を盛り上げるという構図にも、頭が下がるばかりだ。


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