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日本オープンゴルフ選手権 2024

最終日はVS池村「僕は僕なりのプレーを」悲願の初タイトルへ、木下稜介の誓い

ムービングデーと呼ばれる土曜日も、膠着が続いた。
首位スコアは金曜日からひとつ崩れて通算3アンダー。
アンダーパーの選手は、依然として5人。

ヒリヒリする展開で、木下稜介(きのした・りょうすけ)は、イーブンパーの「70」。
3日間でただ一人、オーバーパーなしでこらえた。



単独トップで入った最後18番で、ティショットを右のラフに沈めた。
刻んで、第3打を4メートル弱に乗せられたがパーパットは逃した。

池村寛世(いけむら・ともよ)とタイになったが「仕方がない。むしろボギーで終われたのはラッキーだったと思う」と、落ち込まなかった。
「とにかくセッティングが非常に難しいのでボギーを打ってもすぐ切り替えられる。自分に合っているのかな」と極力、前向きにとらえる。

1差の3位タイから出て、4番で上からのぼりの4メートルを沈めると、10番では奥6メートルのバーディパットも決まった。

ただ、8番アイアンの2打目がキャリーでグリーンを越えて、ボギーを叩いた11番は「風のジャッジか何なのか。今もまだ、整理がつかない」とモヤモヤする。
でも、次の12番では「1カップ半ほど曲がる」という1.5メートルをパーセーブ。

「外していたら、そこからずるずるいってたと思う。後半の大きなターニングポイントになった」と、ピンチで無意識に止めていた呼吸を、ぷぅっと吐き出した。

距離のある17番パー3では、5番アイアンを振り切り、西日に向かってじっと手をかざした。
「ピンが左端に切られて、左に外せば絶対に寄らない、とわかっていた」というシビアなティショット。

ピン1.5メートルに着弾した。

「ショットに手ごたえがあった。自信があった」とバーディにつなげてガッツポーズも出た。

今年5月のミズノオープンで通算3勝目を挙げ、7月にはその資格で3年ぶり2度目の全英オープンに臨んだが、予選敗退していた。

「ショットに安定感や再現性がない。何かを変えないといけない」と今夏、シーズン途中のスイング改造に着手。
デビュー時に指導を受けていた先輩プロの白佳和(はく・よしかず)の力も借りて務めたドロー⇒ストレートボールへの持ち球変更で「ティショットの曲がり幅をコントロールできるようになったしタテ距離を合わせやすくなっている」。

難コースでこそ、その威力を発揮する。

3日目は、日本一曲げない男との2人1組プレー。
「独特の緊張感がある中でのラウンドだったんですけど、あまりに稲森(佑貴)選手が曲がらないので、見ててほっとした。自分を取り戻す、じゃないんですけどイメージよくピンに絡めるショットも打てましたし、今日のラウンドはすごい良かったと思います」と、8季連続フェアウェイキープ1位の後輩に感謝。



    かわりばんこに入ったプレー後の囲み取材でも「勉強になりました!」と、すれ違いざま改めて礼を述べていた。

    最終日の2サムプレーは一転して、屈指の飛ばし屋が相手だ。
    「真逆ですね。ガンガン、ドライバーで打ってくるタイプ」という池村には、初日の7アンダーにもびっくりさせられており、「それがハマれば初日みたいな異次元のスコアが出ると思うんですけど、ぼくはぼくなりの戦い方がある」と、惑わない。

    「どちらかというと稲森選手寄り」と、きょう3日目のイメージを維持したまま、「しっかりフェアウェイキープ。アイアンショットに自信があるので、セカンドショットからゲームを組み立てて」と、今夜も今から眈々と攻略プランに励む。

    「明日も1日、苦しくなると思いますけど、終わってぶっ倒れてもいいぐらい、全部を出し切って終わりたい」。
    悲願の初タイトルへ、今の自分のすべてをぶつける。

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