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東海クラシック 1999

昨年の“三好”を制した伊沢利光

昨年の本大会、東海クラシックは、自身3年ぶりのツアー2勝目だった。95年の日本オープン優勝後、3年のブランクは伊沢にとって非常につらい日々だった。

 まず、「持ち球を、フェードからドローに変えようとした」ことから、スイング改造による不振に陥った。何度も改造を諦めようかと悩む日々。

 そのさなか、左手親指付け根の腱が張れあがる奇病に見舞われる。1昨年前の全英オープン練習日のことだ。

 あまりの痛みに、せっかく手にした全英オープンの出場も断念。以後、まったくクラブが握れなくなった。

 帰国後、「1ヶ月くらい休めば大丈夫だと思った」指の故障はいっこうに回復の兆しをみせず、2ヶ月、3ヶ月・・・直る見込みもないまま日本ツアーを長期欠場。モンモンと日々を過ごした。

「(ツアー放送のある)土、日は、悔しくてテレビもつけなかった」(伊沢)。

 痛くてクラブも握れない。強いて、ほかに何かをしようという気も起こらない。

 趣味といえば、パチンコくらい。でも、「それではお金がいくらあっても足りない。他に、気を紛らわせられる趣味を見つけないと」。

 考えた伊沢がトライしたのは、ジグゾーパズル。明け方4時ごろまで、熱中したこともあった。 約1ヶ月後に完成させたのは、2000ピースのラッセン(在ハワイ)の絵画。だが、時間をかけたわりには、「面白くなくて1回でやめた。趣味にはならなかった」。

 結局、パチンコにしか夢中になれなかったという。

 そうやって焦る気持ちを懸命にこらえ、痛みの回復を待つ毎日だった。

 そんなある日、師匠のジャンボ尾崎が言った。

 「調子が悪いときにこそ、どれだけ頑張れるかが大切。そこで、自分の力量が試される」

 この言葉で、伊沢は苦しみに辛抱強く耐え、復活勝利をあげることができたのだった。

 伊沢にとって昨年のこの大会での優勝は、非常に意義深いものがあった。

  今年の三好では、またどんなドラマが生まれるだろう。

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