Tournament article
ダンロップフェニックス 1999
連載「ツアーを支える人々」
今回、福井さんには、仕事場である“動くクラブ工房・サービスバス”に積みこまれたクラブ調整用の器具の数々を紹介してもらった。
「バスの中にはクラブ1本くらい楽々と作れちゃう道具がそろっています。 シャフト交換に使うシャフト抜き機。ヘッド交換機、シャフト切断機にヘッドソールを削る平ベルトサンダー。あと、バランス計、ロフト計、ライ角を測る、ライ計。あらゆる冶具(じぐ)がバスの中に乗っかっているんです」(福井さん)。
そのほかに、おびただしい数の交換用のヘッド、シャフト、グリップも積み込まれている。福井さんに、ざっとその総数を数えてもらうと、「各ブランドのヘッドが30 個、シャフトは300本。グリップにいたっては1000本は下らないね」とのこと。 選手のあらゆる要望に応えるために、ミリ単位で重さ、角度、太さ、の違うものをバスに積みこみ、0コンマ1ミリのクラブ調整にも対応できるよう万事、備えているわけだ。
福井さんが最も仕事に追われるのは、開催週の火・水曜日。大会がはじまるまでに選手たちは、先週までのクラブの不調や新しいクラブの微調整など、クラブにまつわるさまざまな悩みを福井さんに解決してもらおうと、バスに乗り込んでくるからだ。 多い選手だと、1日に2回も3回も、シャフト、ヘッド、グリップ交換を依頼してくるとか。
「ちなみに…」と福井さん。
「ずばぬけて、その回数が多いのは青木功プロ。朝、シャフトを入れ替えて、練習場で2発打ってみたあとまた交換して、もう2発打ってまた変えて。練習ラウンドのハーフターンでまた変えて、残り9ホールまわったあとまた交換。そのあと練習場で試し打ちしてからまた交換。いったい何回部品交換したか、数えらきれない日もあります。青木さんのクラブへのこだわりはすごいんですよ」。
選手たちの活躍は、福井さんの苦労の上にたっているというわけである。