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アイフルカップ 2000

昨年度チャンピオンは伊沢利光

「これまで、何か悪い状況に陥ると、すぐにいいわけしてあきらめちゃったりしてました。でも、師匠のジャンボさんに、悪い状況になってもあきらめないゴルフをすることが大切なんだって言われて以来、その大切さを実感しながらプレーしてきました ―」(昨年度の優勝インタビューから)

●昨年大会、最終日プレイバック
 その瞬間、すでに勝利は決まっていたのかもしれない。
 1番、526ヤードのパー5。伊沢利光は、残り195ヤードの第2打を、ピンまで10メートルのグリーンカラーに落すと、それをパターで、勢いよく沈めた。いきなりのイーグル発進で通算12アンダーとし、首位に。ド派手なスタートセレモニーだった。
 3番のロングで、第3打を2メートルにつけてバーディとしたあとは7番まで危なげないゴルフも、8番でピンチが訪れる。第2打がグリーン右側の小高い丘、しかも深いラフの中に飛びこんだ。第3打は、わずか5メートルほどしか飛ばずにグリーンをショート。今度は、もっと深くうねったラフで、アドレスで足がバンカーにかかるライだ。
 これを伊沢は、ピン奥2メートル半につけ、慎重にパーで収めた。
 そのころ、1番のイーグルで追い抜いたはずの谷口は、2番、4番、5番でバーディを取り、通算13アンダー。再び伊沢を逆転していた。
 ハーフターンで、伊沢はクラブハウス前のスコアボードにチラっと目をやった。しかし、伊沢の表情は変わらない。
 13番パー4は、グリーン右のカラーから。ピンまで6メートルをサンドウェッジでチップインバーディ。そして、15番ロングでもバーディを奪うと、谷口に2打差をつけて、あがりホールになだれ込む。17、18番で、嫌な距離のパーパットを決めて、伊沢は思わずガッツポーズ。そして、多分ウィニングボールになるであろう球を、早々に観客席に投げ込んだ。折しもそれは、最終組の谷口が、ちょうど16番パー3で、わずか80センチのチャンスパットをはずしたころだった。再び追う立場となった谷口は、18番でバーディを奪ったが、1打及ばず。伊沢の勝利が決まったのだった。

★ 昨年の伊沢の優勝インタビュー
 「18番のガッツポーズは、けっして、これでもう勝った!という実感から出たものではなくて、あくまで今日自分がやろうとしていることが9割がたできたという喜びから出たものでした。今日はいままでの勝った中で、最高の形でプレーができた。ずっと、こういう形で優勝したいと思ってきた勝ち方ができたような気がしたから。
 これまで、何か悪い状況に陥ると、すぐにいいわけしてあきらめちゃったりしてました。でも、(尊敬している)ジャンボさんに、悪い状況になってもあきらめないゴルフをすることが大切なんだって言われて以来、その大切さを実感しながらプレーしてきたんです。
 今年は、6月くらいまでに絶対1勝しようと決めてた。今はまだ7月のまんなかくらい。まあ、だいたいイメージどおりということにしときましょう(笑)。
 いまはゴルフの状態も非常にいいので、次の勝利に向かってこれからも一生懸命プレーしていきたいと思っています」

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