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ダイドードリンコ静岡オープン 2000

田中秀道が、最終日の目標にあげていた「ノーボギーのゴルフ」で2位の溝口英二と2 打差で勝利

きょうはパッティングのフィーリングがどうも緊張感からか、最初からモジモジしてたんです。それを自分で把握した上で、セーフティーなところに乗せて、安全なところに乗せていければな、と思いながらプレーしていました。

5番(パー5)のバーディ(第3打をグリーンカラーからパターでピンまで5センチにつけて)で、少しほっとして、そして6番(パー4)で1メートルのバーディチャンスをはずして、がっくりきかけたんですが…流れに乗せるかなというところだったんでね。
 それでむかつきながら7番でティショットしたら曲がったんで、『これはダボになる、慎重に行こう』と思ったら(残り149ヤード、9番アイアンの第2打が)1メートルについたんで6番の分を取り返しせたな、という感じでした。最初からきょうはノーボギーで60台を出すのが目標だったんです。振りかえってみると13番のバーディ(ピンまで6メートルを入れて)が大きかったかな。回りの人達のスコアは当然、見えてるんですけど、でも、室田さんのにしろ、溝口さんのにしろ、牧坂さんのにせよ、見えてるような見えてないような、どっかスコアに対してボーっとしてるところがあって、回りは見えてるんですけど、気にしてない。

「60台でノーボギーを」という目標を持ちつつ、回りを見て気にしながら、プレッシャーに打ち克っていければと思ってはいたんですけど見えてない…そのテーマのおかげで逆に集中できたって感じなんでしょうかね。

昨日の夜、17番までくらいまでもつれて、『最後の18番はコワイな』って想像してたんです。『でも、17番までもつれないと意味ないし』なんて考えながら。で、実際にスタートして、1番のティショットは大ミスしました。でも、(左)林の中に打ちこんでも多分、大丈夫(転がって出てくる)じゃないかな、というのが今週はあったんです。林の中に転がっても、クラブが振れるところにはあるはずだっていう気持ちがあって。でも、木に当たって転がってフェアウェーまで出てきたときに、「あ、きょうはオレ、つきあるな」と思ったんです。そこで、パーを積み重ねていかないと、と気持ちを引き締めたところでもありました。ポーンとドライバー打てない、ってことは体がこわばっているってことですからね。、あ、オレ緊張してるんだな、と。出足のホールでのパットのフィーリングを考えたと、ちょっと心配ではあったんですが、 13番でバーディをとってからは、18番のティーに立つときに3打差は欲しいなって考えていましたね。

 ピンの位置が微妙に難しいところで、できるだけ易しいところに落していこうとは思ってるんですが、後半はマウンド超えのパットが多くなってしまった。体が『勝ち』に行ってたんですね。勝ちたくなって、体がどうも切れてないっていう感じだったんです。だから途中で、アドレスした瞬間に移っていうふうに、リズムを早くしていきましたね。とにかくビビる前にすぐ打って行こうというふうにしたんです。

 後半の4、5ホールはもう優勝が見えてる中でのプレーですから、安全なところに乗せる、というのも難しくなってきます。ですから、とにかく体が止まらないことだけ考えていきました。優勝を確信したのは、18番のティショットがフェアウェーに落ちた瞬間です。10番、11番、12番くらいから、ドライバーショットが曲がり始めて、『あ、サンデーバック9の体のこわばりが来ているな』と感じました。そんな状況で、12番の林超えのティショットを思いきり振っていけたらな、と思ったら打てたんで、『あ、これは大丈夫かな』と。とにかく悩まなければ大丈夫だと。

 16番のロングのティショットはぶっちゃけたはなし、18番のティショットを想定して打ったんです。18番はどうしてもビビるホールなんで、ティショットでスプーン、 1番アイアンで打ったら逆に曲がるなと思ったんです。どうしてもドライバーで打つためにも、16番で思いきり空に向かっていくイメージで打っていければ、18番でクラブハウスに向かって打っていけるな、と思ったんですね。16番は1番いいショットで打てたときに、もう18番はティショットで行って大丈夫だって確信したんです。18番は曲げた瞬間にダボがあるホールなんであそこであんないいドライバー打って行けたことは自信になります。
 きょうはとにかくバック9が勝負だと思っていました。バック9に入ると体の硬直感が変わってくるんでね。たとえそこまでで並ばれても抜かれても、バック9が勝負だと。特に16、17、18番はバーディの取れるホールじゃないんです、18番は5打差くらいついてても、安心できないホールなんです。だから1打差に詰め寄られてても最後はバック9で決まると信じていました。

 昨年は故障(ひざなど)に泣いた『チビッコ』が、開幕2戦目にして勝たしていただくことができました。丸山(茂樹)さんも向こう(アメリカ)で日本ツアーのことを気にしていると思います。僕らが、丸山さんのいない日本ツアーをもっともっと盛り上げていかなくてはいけない。そして、自分自信、海外ツアーも視野に入れて頑張っていきたいと思っています。そういう意味で今回は、丸山さんにもいい報告ができたのかな、という気がします。最高の優勝です。今年田中は『ひょうきん王』目指しつつ、『賞金王』を狙い、ファンを『沸かせる』部分と、『笑かす』部分をもっと出して行けたらな、と思っているんです(笑)キャラクター的に丸山さんのあとを引き継いで行けるのは僕なのかな、という気がしますから」

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