Tournament article
日本オープンゴルフ選手権競技 2000
田中秀道は、17番パー4で5番アイアンのティショット
404ヤードの17番パー4は、250ヤード地点に右に4本、左に1本の木が整然と並んでいる。
さらに、そこからフェアウェーはゆるくカーブしていて、「各地点を結ぶと三角形を描ける箇所があって、そこに入れるとスタイミーになって、グリーンが狙えなくなる」と田中。
このことに気がついたのは、前日2日目。3番アイアンでティショットを打ったときのことだった。
「風が変わると、この三角地点に打ちこむ可能性がある。わざわざリスクを背負い込むことはない。4番、もしくは5番アイアンで左の木より手前に打って170ヤード残し、6番アイアンでつなげばいい」
この日の3日目は、迷わず5番を握った。
第2打で189ヤードを残し、そこから6番アイアンでピン手前2メートル。
楽々とバーディを奪った。
それまでは、連続ボギーの悪い流れが続いた。
1番でティショットが右バンカーにつかまり、セカンドもまたグリーン手前のラフ。
6メートルのバーディパットをはずし、2番パー4は5メートルのパーセーブを逃した。
10番、11番は約1.5メートルのパーパットをはずし、14番で12メートルを3パット、15 番パー3は5メートルのパーセーブができなかった。
プレー後の公式インタビューは、まず、最初にその日のプレー内容から話すのが、慣例となっているが、田中はその途中にふと、「さっきから、ボギーのハナシばっかりしてる。これでなんでこんな位置にいられるのかな」と、首をかしげたほどだった。「でも、1番、2番でも連続ボギーが来たけど、焦りはなかったんです。展開的には、2オーバー、3オーバーで終わってもチャンスはあるって思えましたから」
「確かに、14番は10番、11番の後遺症といえるかもしれない。守りに入って、ストロークにパンチが入ってしまったから。こんなじゃ、16番から先の難しいホールが思いやられると思ったんですね。でも、内面的にはうまくコントロールできていた。だから、16番でもああいうマネージメントができたんだと思うんです」
首位の直道と2打差2位。
「明日は、72ホール終わって、『さあ、直道さん、あとハーフ回りましょうか』くらいの余裕を持ってのぞみたい。それくらいじゃないと、勝つことは難しいでしょう。
相手はいちばんの実力者。胸を借りるつもりでやる」
いよいよ最終日、やはり直道、田中の2人がクライマックスを盛り上げるのか。それとも―。
「今日は昨日より、多少風が吹いたし、2日間、狭いコースでやってきて、いろいろ参考にできることもあって、そうなると、よけいに気持ちが小さくなって、攻めきれなくなることがあります。
参考をつくって来たからこそ、あっちに打ったらまずい、こっちはだめ、とかね…。今日、全体的にスコアが伸び悩んだのは、そういうふうに、みんなの頭の中に、情報が入りすぎたせいもあるかもしれません。
ここはバーディのチャンスもあるかわりに、ダボのチャンスもあるコース。やはり明日は、直道さんのスコアを見ながらのラウンドになるとは思いますが、攻めきれるコースではないので、いかに精度の高いアイアンを打てるか。今日の17番のようなマ ネージメントがいかにできるか、だと思います。
明日は、直道さんの胸を借りるつもりでやります。
72ホール、いっぱいいっぱいのゴルフではなく、終わってから『直道さん、もうハーフ行きますか』といえるような余裕のある戦いができたらいいと思うのですが…」