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〜全英への道〜 ミズノオープン 2001
「元気になったんだな、と思ってもらえたら嬉しい」
「這ってでも行きたかった」という、先週のタマノイ酢よみうりオープン。
しかし田中は、全英へと、逸る気持ちをぐっとこらえ、大会を欠場。
じっと、自宅に引きこもり、腰痛の療養につとめた。
悶々と時間をやり過ごしていたとき、鳴った電話。
師匠の石井哲雄プロからだった。
「4月のつるやオープンには勝ったが、最近は、あまり調子がよくないようだし、今週は欠場と聞いて・・・」
愛弟子の様態を、気遣ってのことだった。
全英オープンへの思いを伝え、「今週は充分に休んで、来週は勝ちに行くつもり」と打ち明けた。
「これまで、一度も誉められたこともないかわりに、いつも冷静な目で見ていてくれる先生が、今回も、僕のことを気遣ってくれている・・・それがわかって、すごく嬉しかったんです。
同時に、すごく良い空気をもらえた。
先生には、いつも大事な局面で言葉をかけてもらい、刺激を受けるんです」
思えば、初優勝を飾った94年のフィリップモリスのときもそうだった。
週の火曜日、年に何回あるかないかの食事を共にして、「良い空気」をもらったのだ。
「今日のプレーを見て先生に、『秀道はすっかり元気になったんだな』と思ってもらえたら嬉しい。・・・ただ、先生とは弟子入り以来、3回一緒にまわって、一度も勝ったことがないから、今年のオフはぜひ、お手合わせ願いたいな(笑)」
師匠の恩に報えたことが、田中の表情をいっそう輝かせていた。