Tournament article
住建産業オープン広島 2001
▼ 第2ラウンド、上位につけた選手たち 「飯合さんの言葉に救われました」
2001年ツアー開幕は、佐藤信人にとって、苦しい幕開けだった。
昨年、年間4勝。また、春先には8週連続トップ10入りするなど賞金レースの主役として片山、谷口と最後まで競り合ってランキング3位。
それだけに周囲の期待も大きく、「今年こそは、賞金王を取って」などの応援が多かった。
しかし、昨10月のブリヂストンオープンで勝ったあたりから、「実はゴルフの調子は下降気味」(佐藤)。
得意のパットも決まらず、スィングに関しては「狙った方向より、左に引っ掛ける」という悪い癖も出るようになり、ツアーが開けても、思うようにスコアが作れない苦しい日々が続いた。
また、開幕戦から快調にとばす片山、谷口トップ2の活躍も、佐藤の焦りをあおった。
そんな状況だっただけに、「周りの期待は、とてもありがたいと感謝しつつ、逆に重荷にもなっていた」と振り返る。
今年5月。ディフェンディングの日本プロと、マンシングウェアオープンKSBでは、屈辱の、2週連続予選落ち。
意気消沈し、悶々とした日々を過ごしていたとき、たまたま手にとった雑誌が佐藤の気持ちを救った。
それは、飯合肇をゲストに招き、「今の若手プレーヤーをどう思うか」とテーマを掲げた対談記事。その中で、飯合はこんなふうに語っていた。
『いまの若い子たちは、予選落ちすることを気にしすぎている。1回の予選落ちなど怖がらず、もっと思い切ってゴルフをしてみたらどうか―』
「ハっとしましたね。その言葉で、自分がいつの間にか、予選を意識しながらゴルフをしていたことに気が付いたんです。
予選通過を意識すると、萎縮して、調子の良し悪しに関わらず、カットラインをうろうろしたゴルフになります。今の僕が、まさにそれでした。
それに気がついてからは、今は苦しくても、悪いなりにこのプロセスを楽しみながら、焦らずコツコツと頑張っていれば、いずれ良いときもくるだろうと思えるようになれたんですね」
今もまだ、本調子とはいえない。だが、この日3日目にマークした「今年のベストスコア」の65は、自信を取り戻すのに良い材料だ。
「今週も、上位には良い顔ぶれが並びましたが、今年(の優勝争い)に関していうなら、僕はまだ“経験不足”(笑)。明日は少しでも上にくっついていって、精一杯、上を目指して頑張りたい」
久しぶりに、佐藤の明るい笑顔が戻ってきそうだ。