Tournament article
久光製薬KBCオーガスタ 2001
「とにかく、気合だけを入れてやりました」
決勝ラウンド初日。1アンダー37位タイは、10番ティからのスタート。いわゆる“裏街道”からのスタートに、「それだけが納得できなかった」と伊沢。
しかも、インのトップスタートだったため、ハーフターンでアウトの最終組に追いついてしまった。
優勝争いを目前に見ながらのプレーに「“せめて、1番ティから行かせてくれ〜”と思いながら、やりましたよ」と冗談っぽく笑ったが、それがかえって伊沢のプライドに火をつけたのか。
ターンした1番で手前6メートルを沈めると、6番パー5では、縦幅の狭いグリーンに、2番アイアンで奥2メートルにつけてイーグル奪取。7番で5メートル、最終9番もバーディで締めくくり、ド派手なゴルフで通算8アンダー、首位と4打差の8位タイ。優勝争いに名乗りをあげた。
この日は、「とにかく、気合だけ入れていきました」という。
目標は、この日1日で7アンダー。
「それはあくまでも目標だったわけだけど、7アンダーくらい出さないと追いつかないじゃないですか。優勝を狙っている? …そりゃあ、今日はまだ3日目。“20位くらいで終わればいいや”なんて、思わない。とにかく(上位選手のスコアが表示されるスコア)ボードまで届けば、優勝の可能性はあると思ってますからね」
口調は飄々としているが、その内容は、かなり強気だった。
6月のダイヤモンドカップで、初日116位タイから大逆転優勝と“実績”はあるものの、それでも、今週は、左手に爆弾を抱えながらのラウンドだ。
スタート前の練習では25球以上、球数を減らし、普段は200球近く打ち込むホールアウト後の練習もいっさいやめて、大事を取っている。
「でも、今日はもうほとんど痛みはなかったですからね。8番でも、パンチショットが残ったんですけど、残りあとひとホールだから、いいや、やっちゃえ〜って。それでも、痛くなかったですし」とのコメントに、順調な回復ぶりをうかがわせる。
「やっぱり、アイアンの内容なんかは、ダイヤモンドカップのときと比べても、話にならないくらい良くないですよ」というが、その堂々としたプレーぶりにハンディはまったく感じられない。
「トップが、13か、14(アンダー)で止まってくれれば…。明日は前半勝負ですね」普段は穏やかな伊沢の瞳が、鋭く光った。