Tournament article
Phlip Morris K.K Championship 2001
「今日はとにかく勝てばいい」
今週、7連戦目。しかも、そのうち4試合でのV争いで、疲労困憊。
最終日、本来ならば、ほとんどコースの状態を知り尽くしているはずが、「頭はもう、真っ白で・・・」
いつもなら、自分ひとりでも計算できる距離感、クラブ選択、風向き、パットのラインまで逐一、キャディの前村直昭さんに確認しないではいられないほどに、伊沢は疲れきっていた。
チャンピオンブレザーの贈呈、表彰式、カップを持っての記念撮影、サイン会などがひととおり終わり、やってきた共同記者会見場。席に座るなり「ふう・・・」とため息をついて、机に突っ伏したまま、しばらく、起き上がれない。
ようやく顔をあげ、優勝の感想を聞かれても、「今は、疲れすぎてわかんないです・・・。ほんとに、いっぱいいっぱいでしたから」と、答えるのが精一杯だった。
「今日はとにかく勝てばいい・・・そういうゲームに徹した」と伊沢。
9月の東海クラシック、先週のブリヂストン。いずれも今週より、疲労の度合いが低かったとはいえ、それでも、絶好調とはいえない体調のときどう戦うべきか。「悪ければ、悪いなりに、掴んでいましたから」と話す。
ティショットで飛ばし、ピンの根元にピタリと止める。それこそ伊沢の真骨頂だが、「この体調で、そんなのは無理。キレイに勝つことも大事だけど、こんなとき、ガツガツ行ってもしかたない。体調を考えて、やれることをやるだけです」
15番で、バーディを奪い、2位と2打差がついた。
午後から吹き始めた強風。普段なら、サービスホールの18番がアゲンスト風になり、イーグルどころか、バーディも困難な状況に。
前組の田中がパー、谷口がバーディに終わったのを見届けると、「もう、ボギーでもいい」と切り替えた。
残り154ヤードまで運んだ第3打が、「思ったより風に流され」右のバンカーに落ちたが、焦らなかった。
そこから寄せて、OK距離のボギーパットで、「夢の2億円」達成だが、「2億円ですか・・・実際に、“数字”を見てみないと、実感が湧かきませんねえ・・・(笑)」とのんびりと答えてから、「・・・ほんとうに、僕がそんなに稼いじゃって、いいんでしょうか?(笑顔)」
報道陣に念を押し、笑いを誘ったその様子は、ツアー歴代2人目の2億円プレーヤーとは、とても思えないほど、ほのぼのとしたものだった。
写真 = 疲れで、思うようにクラブが振れない。この日は、不本意な結果に首をかしげるシーンも多かったが、それでも「シップとかは全然、効かないほど疲れていたけど、イギア(ツアー帯同のフィットネスカー)、朝は1時間、ホールアウト後は2時間、毎日ケアしてもらったことで、なんとか戦えました」と伊沢。