Tournament article
三井住友VISA太平洋マスターズ 2001
「ショットはいい。あとはパットがなんとかなれば・・・。明日はスタート前、練習グリーンで“伊沢先生”に教わってから、行こうかな(笑)」
8月にかかったパットのイップス病が、完治していないからだ。
「15番の外し方、17番の外し方・・・。15番は、のぼりの1カップ打っていけばいいのを、はずし、17番は、右カップややのぼりスライスのあんな短いの(1メートル弱)を外した。スライスを右にはずし、フックを左に外し・・・こんなので、良くなっている感触はまったくない」
ショットは、「いちばん、勝っていたときよりも良いくらい」と絶好調。それだけに、パッティングの不調が、ますます際立つ。
「ショットのときと、パットのとき・・・精神状態がまったく違うことが自分でもわかってしまうんだ」と、悩みは深い。
「もちろん、メンタルの部分を技術で解決していこうと、いろんなことをやっている。しかし練習場ではどうってことなく手が動いても、試合と練習グリーンの違いは明らかなんだ」
病気の完全克服のため、ぜひとも欲しいのが今季初V。
「こういった優勝争いの中で、良いパットをして、良いスコアを出して優勝できればきっと・・・」と、つぶやくジャンボ。「そのためにも、明日は、バーディの数で負けないようにしたいんだがね・・・」
最終日、不安を抱えながら、1打差で追う相手は、弟子の伊沢利光。
この日3日目は、前組でプレーする“敵”を後続から仔細に観察し、「17番なんか、バンカーに入れてたろ? たいしたことないなあ(笑)!!」と、一応、弟子をけなしてみつつ、心中では、今季の弟子の活躍を素直に認めている。
「あいつにはきっと、去年あたりから、ショットに掴んだものがあり、今、自信を持って振れているのだろう。自信がつくと余裕ができる。そして、余裕があるとあんな、バンカーからでも、平気でパーが取れるんだ。もちろん、その余裕を持つまでが大変なんだがね」
「俺も、ショットに余裕はあるが、パットには・・・な」と、インタビューの間も、終始、表情は渋いまま。
最後にようやく、「明日は、スタート前に練習場で、“伊沢先生、お願いします”と言って、教わってから行こうかな」とジョークで明るく笑い飛ばして見せたのだが・・・。