Tournament article
サトウ食品NST新潟オープンゴルフ選手権競技 2002
「なぜかあいつには、さらけ出せる」
2年ぶりのウィニングボールも、またそっと、ポケットにしまった。妻・崇乃子さんにプレゼントする、記念のボールが、またひとつ増えた。
初優勝、ツアー2勝目、ホールインワン…。今野は、嬉しいことがあるたびに持ち帰って、日付と試合名を書きこみ、崇乃子さんに手渡してきた。
中でも、一番、思い出深いボールは、昨年の住建産業オープン広島のものだ。
昨季は、開幕から不振続きで、連戦ののち、ようやく予選通過を果たした試合。ささやかな喜びを、ボールにこめて渡すと、崇乃子さんは、それも、初Vのものと並べて、部屋に飾ってくれたのだった。
最近、そのボールをふと眺め、「去年は7月になるまで、予選通過さえできなかったんだなあ…」と、感慨深い思いで、振り返ったばかりだ。
シード落ちした2001年シーズンは、毎週末、手ぶらで自宅に帰るのが申し訳なくて、崇乃子さんには、「そのうち良くなるから」と、明るく言ってみせるものの、いっこうに、復調の兆しはなく、心苦しい日々が続いた。それでも、「一生懸命やっているんだから、大丈夫」と、励まし続けてくれたのが、崇乃子さんだった。
「他の選手にも、友人にも話せないような悩みも、あいつには、なぜかさらけ出せるんです」。
夫婦力を合わせ、乗り越えてきた1年間。今回、6個目の記念ボールが、そのあかし。
「これからももっといっぱい、こんなボールが並ぶといいな」
勝利を決めた18番グリーンで、2人は照れ笑いで、見つめ合った。