Tournament article
ダンロップフェニックス 2002
「彼へのご褒美、もちろん私にも…」
横尾はややむくれ顔で、18番グリーンに祝福に駆けつけた先輩を指差して、言った。
「深堀さんときには、絶対に仕返しするからね!」
一応はにこやかな笑顔で、2人でカップ写真に収まりながら、妻・房江さんと小声でやりとり。
「なんで、(18番グリーンに)来たの?」
「だって、深堀さんたちが、行かなくちゃだめ、って言ったから…」
房江さんは、ご存知のとおり、元・タレントのかとうれいこさんだ。
結婚したらタレント活動はやめる、というのが条件だったから、
「いまは、“横尾房江”なのに、新聞や雑誌に、いまだにかとうれいこって書かれるし、他にも、あることないこと言われたりもする。それが嫌だから、あんまり2人で人前には出たくなくて…」と、顔をしかめた。
ゴルフ界では人気の横尾も、世間一般の知名度は、今はまだ、断然、房江さんのほうが上。
それは横尾自身も承知の上だけに、悔しさもある。
「芸能面じゃなくて、もっとゴルフ面で取り上げて欲しいんですよ」
もともと硬派な横尾だけに、たとえ先輩の勧めでも、2人の写真撮影など照れくさいというのも、本音だっただろう。
18番で夫を出迎えた房江さんの顔を、わざと一瞥もしなかったほどだ。
「本当は、一緒に撮りたく、なかったのに! 深堀さんのせいで、引くに引けなくなっちゃったじゃないですか〜。今度、逆の立場になったら、深堀さんにも同じことやってあげるから、覚えといて!(笑)」
口を尖らせつつ、3月には、第一子も誕生予定で、幸せ一杯の2人。
再び、来シーズンから始まる過酷な転戦生活も、二人三脚で、乗り越えていく。
妻・房江さんのはなし「ほんとうに、とっても嬉しい。今年は大変な1年だったから、この優勝は、頑張ってきた彼へのご褒美。そしてもちろん私にも…(笑顔)」