Tournament article
中日クラウンズ 2002
「なんでこんなに上手いんだ?こいつは…」
2年連続のベストアマチュア賞に輝き、大きなカップを受け取った宮里君の表情が、冴えない。
「かなり悔しい…」。
前日3日目の、ホールアウト後の練習場からショットの調子がいまいちで、「心配を抱えながら」の最終日だったとはいえ、同い年のジャスティン・ローズを、楽に勝たせてしまったことには、納得がいかなかった。
1番パー4で、絶好の位置から、第2打のアプローチをショート。2番でティショットを左ラフに打ち込み、チャンス2ホールが取れなかったことで、ゲームのリズムが、作れない。さらに、次の3番の第2打を、左にひっかけボギーとし、さらに差が開く。
「今日のピン位置では、ラフから(バーディを)取るのは、かなり難しく、ティショットでフェアウェーをとらえていない自分には、かなりきつかった。…優勝争いの固さ、追いかけるほうの焦りも、ありましたね」
ツアーで3度目の最終日最終組。ローズのプレーを目前に、「なんでこんなに上手いんだ、こいつは?」と、ライバル心を燃やしながらの、ラウンドだった。
ローズとの差を、「僕が、大学で頑張ってきた4年間の間に、彼はプロとして経験を積んできた差」と話したが、といって宮里君に、“後悔”があるわけでは、決してない。
「僕の学生生活だって、何にも変えがたい貴重な経験でしたから…」
東北福祉大4年終了後の来年は、いよいよ、ローズと同じ舞台に立つ予定。
「チャンスがあれば、またぜひ戦いたい」
戦い終わった18番。宮里君はローズの目をまっすぐに見つめ返し、「おめでとう」。世界で活躍する同い年のライバルの手を、しっかりと握り返した。