Tournament article

フジサンケイ クラシック 2002

これから、もっと強くなる

「初優勝と同じくらい嬉しい」と佐藤信人、どん底からの再起

 「もう一度、じっくりと力をつけなおし、トップ選手たちと争えるようになろう」
 昨シーズン後半に考えを改め、どん底からの再起を誓った佐藤は、コンビ4年目になる井上透コーチ、そして、今季から契約を結ぶ専属トレーナー・外村知嗣さんとともに、地道な練習と、トレーニングの日々を続けてきた。
 最終日、一度はV圏外まで後退しながら、14番の3メートルのバーディパットで息を吹き返し、プレーオフまでこぎつけたしぶとさが、佐藤の過ごしてきたこの1年を、象徴していた。
 17番パー3。
 「会心の6番アイアン」で1ピン距離につけ、バーディで、トップに追いつくと、ふいに、「絶対に勝ちたい」という強い思いが、沸いてきた。
 と同時に佐藤を襲った、激しいプレッシャー。
 それはまだ、デビューしたてのかけだしのころ、2部ツアーのチャレンジツアーで、ツアーのシード権をかけて戦っていたときの感覚と、似ていた。

 プレーオフ2ホール目、ライバルのレイコックが、短いパーパットを外して、ボギーとした。
 60センチのウィニングパットは、「これまでの優勝には、なかった痺れ」
 ど真ん中から、沈めた瞬間、この1年の思いが、どっとこみ上げてきた。
 (よくここまで追いついた、よく頑張ったな…)

 勝つことを、強く意識しながら、もぎ取ったツアー7勝目は、
 「初優勝(チャレンジツアーのカバヤオハヨーカップ)のときと、同じくらい嬉しい。頭が真っ白に、なるくらい(笑)」
 今回の優勝が、さらなる強さを、佐藤にもたらすに違いない。

関連記事