「最後の最後までやりぬきたい」
普段、控えめな佐藤の口から、ほのかな自信がこぼれ出た。「今年のオフ合宿は、例 年以上に内容のあるものでした。この開幕戦で、しっかりした状態でのぞめるように やってきたんです」 小雨の降りしきるこの日2日目にベストスコアタイの66をマークして2位タイ浮上にも 「オフにやってきたことが、そのまま出てくれたみたいで嬉しい」。裏付けがあった のだ。
今年、大掛かりなスイング改造に取り組んだ。「シャットレイドオフ」（佐藤）の傾 向が強すぎて、これまでは、弾道の低いドローしか打てなかった。以前は「それでも いい」と納得していたが、最近になって、「やはり今後のことを考えるとフェード ボールも打てるようになるべきだ、と」 ほぼ毎週行った井上透コーチとのオフ合宿で、その一点に徹底的に取り組んだ。その 甲斐が出た。 たとえば東建多度CC・名古屋の9番、18番。右ドッグレッグのこのホールで、 「フェード気味にいきたいな〜、と思っても前は絶対に無理だった。それが今年は、 そういう球が打てたりするんですよね」

まだ完璧とはいえない。「精度はまだまだだし、完成度は半分くらいかな」。“100 ％”と言えるまで「あと１、２ヶ月はかかると思うけれど」それでも、この2日間 で、確かな手ごたえを掴みつつある。
プレッシャーのかかる場面でも実戦できれば、自信はより確信に近づく。「だから、 日曜日の最後の最後まで今の課題を、思いきってやり抜きたい」と、自らに誓った。

• 佐藤 信人