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東建ホームメイトカップ 2003
「今年はそ〜っと(笑)。僕の今年のテーマです」首位発進の米山剛
目深にかぶるのがクセのキャップには『y』のロゴ。今年1月、ヨネックス社と正式にクラブ・用具契約を結んだ。同社の創業者、米山宏作社長と名字が一緒ということもあり、「はじめから違和感も なく、とても馴染みやすかったんですよ」。
従来、使っていたものより、スウィートスポットが広くなったドライバーは、「多少のミスヒットも大曲りしない」と、はじめて手にした瞬間から、手に馴染んだ。「前は高く上げようとしてあおって打っていたけど、いまはスプーンで打っているときみたい。理想に近いスイングができるようになりました」と絶賛する。
アイアンには、実は前日水曜日まで、「思ったより飛びすぎる」との不安を残していた。「アイアンが飛びすぎるって、プロにとっては不安で、思い切って打てなくなっちゃうんですよね」すぐにメーカーの技術スタッフに相談し、ロフト、ライ角を調整してこの本番に間に合わせた。
89年の初シード以来、最低ランクの61位でシーズンを終えたこのオフ、新しいクラブ にあわせて、ラウンド時の考え方も一新。「長いクラブでバーディ、より、短いクラブでチャンスを作っていこうと」井上透コーチと相談して、100ヤード以内のショットに重点をおいて取り組んだ。
「たとえば片山(晋呉)君。彼は多少、調子の悪いときでも、ショートアイアンが抜群にうまいから、そこそこで上がって来られる。見習って、そういう面にも目を向けていこう、ということになったんです」
この日初日は4番パー5で、10ヤードの第3打をサンドウェッジで直接入れてイーグル を奪うなど、特訓の成果を見せた。「開幕戦の初日に“いちばん上(トップ)”だなんて、もう新しい道具のおかげ、それだけですよ」と会見場で謙遜した米山の、今年のテーマは「そ〜っと、行く」だ。
「ヨシ、と意気込むといつもダメになるタイプ(苦笑)。だから今年はあまり大きな ことは言わず、1打1打、気負いなく、そ〜っとやって・・・。最後も上に残っていられ れば(笑)」。
控え目な笑みから、“本心”がこぼれ出た。