首位の谷原とは、お互いに初優勝がかかっていた。
17番のバーディで通算13アンダー、トップタイ。チャンスは、もうすぐ手の届くところまで来ていた。
そして迎えた最終18番。
最初は、安全に刻むつもりだったティショットが、思いのほかあたりがよくて、ピンまで残り256ヤード。「ここで狙わなければ、男じゃない・・・」。
グリーン右バンカーに打ち込んだ第2打は、果敢に攻めた結果だった。
残り50ヤードのアプローチも、「思い切りいこうと思った。ダフリだけは嫌だったから・・・」振り抜いた第3打は、グリーンの上を越えて今度は、反対側の左足下がりの深いラフの中にもぐりこんだ。
そこからのアプローチも寄せきれずにボギー・・・。
「まあ・・・この3日間、良いゴルフはできたから。また次回！」
谷原に初優勝をゆずった矢野は、悔しさをこらえて懸命に、気を取り直していた。
写真＝18番、深いラフからのアプローチも「攻めた結果です」と矢野。

• 矢野 東