Tournament article
日本オープンゴルフ選手権競技 2003
深堀圭一郎がイップス症状改善に光明、首位タイ
今年、シーズン最初からパッティングのイップス症状が出ていた。改善のため、あら ゆることを試して きた。毎週、バッグに入りきらないほどのパターを会場に持参。それでも足りずに、 他の選手が練習し ているのを借りて試したり、試合の帰りに寄ったゴルフショップで、クラブ契約を結 んでいるメーカー のものをわざわざ自腹を切って購入したり。
「できることはすべて、やり尽くしましたね」。
シーズン序盤は、痛めていた手首の大事を取って、ショットの練習を控えていたの に、その分増えたパッティング練習でかえって痛めてしまった。「パットを打つときに力が入っているか ら、その分、筋肉 も硬くなっていた」八方塞りの状態になった時期もある。
それでも諦めず、あらゆる人にアドバイスを仰いだり、懸命に打開策を求めてきたの だ。
そんな深堀に今週、光明がさしている。
2試合前から起用したパターは、通常より、30グラムほど重いヘッドのベティナル ティのマレットタイ プ。最初のうちはフィーリングになじめず、勢いあまってパーパットの倍以上の距離 を打ちすぎてしま ったこともあったが、「方向を合わせてポンと打つだけ。いまは、腕、肩ともに力を 抜いてヘッドに仕 事をさせるイメージで、とても転がりのよいストロークができています」。さらに、先輩のこんな言葉にも、助けられた。今週練習日、伊沢利光が言ったのだ。 「長い競技人生、 手が動かないときもある。気にしないで、気長にやろうよ」。ふっと、気持ちが軽く なった。
この日初日は、インスタートの11番でボギーが先行したものの、13番パー5で、18 メートルのイーグル パットをしっかりと2パットで収めてバーディを奪うなど、6バーディ1ボギーの66。5 アンダー首位タイ でのスタートは、イップス払拭への何よりの兆しだ。
「まだ完全に直った、・・・とは言い切れないけれど、あの状況から完全に立ち直れた なら、きっとすご い自信になる。今週、良い結果が出せたら、苦労した甲斐もあるってものです」。
約2年ぶりのツアー6勝目は、このビッグタイトルで悩みを吹き飛ばしてしまいたい。