Tournament article
カシオワールドオープン 2003
シード権がかかる選手たちにとっては、今週が事実上の最終戦!! 今年の賞金シードのボーダーライン、ランク71位に滑り込み来季の出場権を確保した平石武則、その陰で・・・
今年の賞金シードのボーダーライン、ランク71位に滑り込み来季の出場権を確保した平石武則、その陰で・・・
ホールアウト後、クラブハウスでばったり会った2人は、複雑な思いで握手をかわした。
「・・・すまんかったな」と平石武則(=写真上)
「とんでもない! おめでとうございます」と秋葉真一(=同下)。
今週、平石は2001年の初優勝で得たシード権の確保がかかっていた。
対する秋葉は、初シード入りがかかっていた。
大会前、賞金ランク74位につけていた平石のシード権確保は、秋葉の成績次第だった。
賞金ランク81位につけていた秋葉が初のシード権を手に入れるには、最終日、できるだけ上位で終わっ てボーダー線上にいる平石を、抜くことが条件だった。
2人に、重圧がのしかかる。
「初優勝のときとは、比べようがなかった。あのときはまったく無欲でやれたけど、今回はそうはいか んかった。前向きに行こうと思ったが、現実はビビリまくってた」と、振り返ったのは平石。
今年は、最後までパットに苦しんだシーズンだった。最終日も、12、15番の2ホールで3パット。「やっ ぱり最後もパットで泣くんか・・・」絶望感が走ったが、後半のアウトコースでなんとか3つ、取り返して 通算6アンダーでホールアウト。あとは、秋葉の結果を待つばかりとなった。
秋葉も、異様な緊張感の中にいた。今年、幾度か味わった優勝争いの雰囲気とも違う。
「思い切って行くしかない、でもボギーは打てない」という気持のせめぎあいに、最後まで戸惑った。
13、14番で連続ボギー。ますます募る焦燥感。しかし、あえてスコアボードは見なかった。平石の結果 より、まず自分のスコアだ。そう思ったからだ。最終18番で、奥から2メートルのイーグルチャンス。 これを入れたらどうなるのか? まったく状況がわからないまま打ったパットは、カップの横をすり抜 けた。結局、バーディに終わったが、仮にイーグルで通算10アンダーにしていても、平石には届かなか ったと、あとから聞かされた。「・・・そうでしたか・・・」静かにつぶやいた秋葉。「でも、あと一歩、と いうところまでやれたのは、今年が始めて。来週は、もっとしびれると思うけど精一杯やってきます」 来季の出場優先順位をかけた予選会「ファイナルクォリファイングトーナメント(ファイナルQT)」の 会場、高知県・Kochi黒潮CCに向かった。今週、会場入りしたとき、今大会終了後にはシード保持か、もしくはQT会場行きか。「五分五分だな、 と覚悟しながらきた」という平石。「とにかく、今年も予選会に行かんで済んだ・・・。僕らのような中 途半端なレベルにいる選手にとっては、それが何よりの喜びですわ」。18時の鹿児島空港には、大会前 とはうってかわって穏やかな表情で、大阪・伊丹空港行きの飛行機に乗り込む平石の姿があった。