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久光製薬KBCオーガスタゴルフトーナメント 2004

スティーブン・コンラン、恩人にウィニングボールを迷わずたくした初優勝の瞬間

最後まで接戦を続けた谷口徹と健闘をたたえあってかたい握手。
先に通算7アンダーでホールアウトしたコンランは、18番グリーンサイドで食い入るようにそれを見つめていた。

1打差2位の谷口徹のバーディパット。左奥から7メートルのチャンスはしかし、下りの難しいラインだ。応援にかけつけてくれた友人、知人たちが口を揃えて「大丈夫、きっとあのパットは決められない」と言ってくれたが、本人は結果を見るまでは安心できなかった。

その週、谷口が「パットが絶好調」と話しているのを聞いていた。ビッグチャンスを前にして、谷口ほどの選手がみすみすそのパットを外すとは、どうしても思えなかったのだ。

プレーオフを覚悟して、固唾をのんで見守ったパットはしかし、カップをそれていった。

途端にゆるんだ、眉間のシワ。安堵のため息。

日本ツアー9年目の初優勝をもぎ取った瞬間、すぐにポケットからウィニングボールを取り出した。キャディの西原将之さんの手に握らせて言った。

「マサ、君のおかげでやっと、この日を迎えることができたよ・・・。待たせてほんとうに悪かったね!」。

日本ツアーに本格参戦を果たした97年から、ほとんどの試合でバッグを担いでくれた西原さん。迷わず贈った記念のボールは、辛抱強く、ともにこの日を待ち続けてくれた恩人へのせめてもの感謝の気持ちだった。

「優勝が決まった瞬間、『マサ、これ受け取ってくれよ』って・・・。すっごく嬉しかったけど、でも、ほんとうにもらっていいのかな?? あとで奥さんにも一応、聞いてみないと叱られるかも・・・(笑)」(西原さん)。

「いいんだよ。妻(バージニアさん)は、そんなことで怒ったりしないさ。マサ、長い間支えてくれて、ほんとうにありがとう」(コンラン)。
  • 専属キャディのマサこと西原将之さん(=左)と。

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