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三井住友VISA太平洋マスターズ 2004

川岸良兼「ジャンボさんも、今の俺みたいな気持ちで見ていたんだな」

来月の6日に38歳。あのときの、師匠の気持ちがようやく理解できる。
今週、予選2日間を同じ組で回るアマチュア、諸藤将次君(日大)は18歳。圧倒的な飛距離で“怪物”と、呼ばれ畏れられていたころの自分と、ちょうど同じ年齢に差し掛かる。そしていまの自身はといえば、そのときのジャンボ尾崎と同じ年齢。

「ジャンボさんも、今の俺みたいな気持ちで、18歳の自分を見ていたんだって。ようやく分かったよ」。

諸藤君のウリも、ツアープレーヤー顔負けの豪打。川岸も、まだまだ衰えていないとはいえ、さすがに18歳のころの、勢いはない。
この日は、諸藤君にティショットで再三、先を行かれて「途中で、いやになっちゃったよ(苦笑)」。
同時に、あのころのジャンボのコメントを思い出す。

『…38歳が、18歳に飛距離で勝てるわけがないじゃないか』

そのかわり、あのころの川岸もいつもスコアではジャンボには追いつけなかった。
1オーバーに終わった諸藤君に、7打リードの首位発進。
「良かったよ、俺もスコアで彼に勝てて」と、わざとおどけて笑ったが、今のゴルフの調子なら、それも当然の結果。
特に「長いクラブ」が絶好調だ。3番パー5。スプーンで打った第2打は「素晴らしい球だった」と思わず自画自賛のピン5メートル。おまけにパッティングも好調で、これを沈めてイーグルを奪うなど、66の6アンダーは、先週に引き続き初日首位スタート。

ジャンボの通算113個の勝利数のうち、半分以上が40歳を過ぎてからのものだ。師匠の全盛期と同じ年代に差し掛かって、弟子が意識しないわけがない。
「これから俺も10勝…いや、10勝じゃあ少ないな。もっともっと、勝たないと…!!」。
一時は、ツアーの出場権さえ失ったドン底からの再浮上に、最近では強気なコメントも飛び出すようになった。
“怪物”川岸の夜明けは近い。

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