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日本プロゴルフ選手権 2004
雨中の激戦を繰り広げた深堀圭一郎は2位
最終18番は残り267ヤードから2オンに成功した。ホに追いつく最後のチャンスは、左 手前から10メートルのイーグルチャンス。今週のキャディ、ゲーリーさんと慎重にラ インを読んで「入るイメージがした」と、狙いを定めて打ったパットは、しかしカッ プを大きくショート。
「…グリーンのスピードと、自分のイメージが、あってなかった」と、うなだれた深 堀。
当初、大会は72ホールの消化を目指して1日36ホールをまわる予定だった。そのため に、5時45分という異例の早さで第3ラウンドがスタートしたが、初日に続き、この日 最終日も雨にたたられ、深い霧がコースを覆った。
8時58分に、競技が一時中断した時点で、1日2ラウンドは厳しくなった。選手たち が、クラブハウスにいったん引き上げてきて、そのあとしばらくして54ホールの競技 短縮が発表された。
深堀ら最終組は、8番パー4までプレーを終えていた。勝負は、残り10ホールとなっ た。首位を走るホとの差は4つ。深堀は、「いまは誰とも話したくない」と思った。
「人と話すと、今のテンションが飛んでしまう…」。人目をさけて、ロッカールーム に逃げ込んだ。その隅っこで息をひそめ、ひそかに、獲物を狙う猛獣さながらに、再 開の時を待ったのだった。
「絶対に勝つ」強い決意で迎えた再開後のバック9。激しい接戦も、深堀が18番の イーグルパットを外し、続いてホが奥からの5メートルのバーディパットを沈めて、 終止符が打たれた。そのとき、まだ自身のバーディパットを残していたにもかかわら ず深堀は、それまでの厳しい表情から一転、ハッとするほどさわやかな笑顔で、ライ バルのもとへ歩み寄り言った。
「おめでとう!!」雨中の激戦を、戦い抜いた男同士の固い握手。
「このひどい雨の中、SKも、僕も60台をマークすることができた。お互い、ほんとう に良い戦いが、できたと思う」悔しさをこらえ、すがすがしいコメントを残した。