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アイフルカップゴルフトーナメント 2005

高橋竜彦「もうそろそろ、いい時期だと思っているから」

この日はパッティングが絶好調だった。7メートル前後のチャンスが面白いように決まった。ショットのミスもほとんどなく、危なげないゴルフは、今年から取り入れている、フィル・ミケルソンと同じ練習法の成果だ。パッティンググリーンで、カップの約半径2メートルをグルリと取り囲むようにボールを並べ、順番に打っていく。
「これなら、スライスもフックも。さまざまなラインの練習が、いっぺんにできる」。
もともと高橋には、「入れたい」という気持ちが強すぎて、ついカップに向ってストロークしてしまうクセがあった。
そのせいで、特にフックラインのときはカップ下に外すことが多く、以前からコーチの堀尾研仁さんに指摘されている点でもあった。

「だから、絶対にカップ下には外さないように。この練習を繰り返すことで、それもかなり改善された」という。

それは数字にもあわられていて、今季これまで出場5試合ですべて予選を通過。5月の三菱ダイヤモンドカップでは5位タイに入るなど、安定した成績を残している。

今年31歳。
「いつまでも、“経験を積む”などと言っていられる年齢ではない」と、感じている。その思いをますます強くしたのは、2週前のことだ。

ウッドワンオープン広島で、“衝撃”を受けた。日大時代の3つ先輩だった野上貴夫がツアー初優勝。もちろん、もともと実力のある選手だったが今季ばかりは野上も高橋と同じ、“予選会組”だった。

ファイナルQTランクの順位も近くて、野上は48位、高橋は49位。
序盤戦は互いになかなか出番が持てず、一緒に現地ウェイティングを利用して出場の機会を待っても順番が降りてこず、練習だけして帰宅というむなしい日々を、2人して何べんも味わっていたのだ。

その野上がいきなり初優勝をあげた。
仰天するとともに、「自分も、早くああいう風になりたい」と、痛切に思ったという。

「僕だって、もうそろそろ考えてもいいころ。・・・勝ちたいですね」。
2年前には、「いつまでもミスを引きずる性格」を気に病んで、メンタルトレーニングなどに取り組んでいた高橋だが、ここ数年で精神面でも大きく成長をとげているようだ。

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