Tournament article
ダンロップフェニックストーナメント 2005
タイガー・ウッズ「また来年、ぜひここでお会いしましょう」
ハーフターンのあたりから、わずかに足を引きずる素振りがあったが、プレーオフの1ホール目。
ティショットでフィニッシュを取った瞬間に、激痛が来た。
まるで電流が走ったよう。ビクっと全身を震わせたあと、右足だけで数歩、後ずさった。
その場でうめくように体を折って、左足を押さえた。
苦しそうに寄せた眉間のシワ。
ギュっと目を閉じて、懸命に痛みをこらえた。
ずっとひた隠しにしていた爆弾が、いよいよ爆発した。
左林に打ち込んで、セカンド地点に向かうときも、あまりの痛みに満足に歩も進められない様子だった。
「ここ3週間、試合が続いていたし、長いシーズンの疲れが出ているんだろうね。今日1日くらいは持つだろう、と思っていたけれど。特にドライバーでかばって、体重が右足に残ってしまう。その影響でミスが出て、イライラが募ったよ」。
3日目に2位と10打差をつけて圧勝した昨年大会とは対照的に、僅差の戦い。
本戦の2番でボギー。3番パー3でバンカーからホームランしてダブルボギーを打って一時は逆転されるなど、“らしくないプレー”もそのせいだった。
林超えのワンオンを狙ったティショットがギャラリーのポケットに“ホールインワン”した13番でバーディ。
チップインバーディの15番でようやく流れを引き戻したものの、結局、横尾要とのプレーオフにもつれ込み、しかも、決着まで4ホールもかかってしまったのも・・・。
「昨年の(優勝の)ほうが、ストレスがなかったね。プレーオフの1ホール目には、“負けた”と思った」。
あとでそう打ち明けたが、致命傷を負いながらも、最後にはしっかりと勝利をもぎとってしまう執念には、やはり凄まじいものがある。
苦闘の末に連覇を成し遂げたウッズは、それまでの厳しい表情を、優勝インタビューでたちまち解いた。
晴れやかな笑顔で、地元・宮崎の大ギャラリーに心をこめて語りかけた。
「日本のゴルフファンのみなさんは、最高です。僕だけでなく、どの選手にも暖かい声援を送ってくださって、観戦マナーも素晴らしい。選手を代表してお礼が言いたいです」。
そして、最後に「また来年、ぜひここでお会いしましょう」と締めくくった。
その狙いは言うまでもなく、大会3連覇しかない。