Tournament article
中日クラウンズ 2005
尾崎直道が2週連続V、出場23回目にしてつかんだ大会初優勝!!
雨中のプレーオフ2ホールを制して、2週連続Vを達成。出場23回目にして、ようやくつかんだ憧れのタイトル。
昨年のいまごろは腰痛に苦しんで、「もう、俺の年齢ではクラウンズに縁はないだろう」と、思っていた。
しかしその瞬間は、あと数十日で49歳になろうというこの時に、思いがけずやってきた。
大ギャラリーの中に見つけた、最愛の家族の笑顔。
こみ上げてくる思い。
我知らずマイクに向かって、思い切り声を張り上げていた。
「バンザ〜イっ!!!」。
両手を天に突き上げる無邪気なポーズで、自身32回目の表彰式を締めくくった。
和合での初優勝は、7歳になったばかりの次男・惇哉君との約束だった。
18番グリーンでウィニングパットを決めた直道を、「お父さん、凄いよ!」といって抱きしめてくれた長男・貴将君は、中学校でゴルフ部に在籍している。
翌週には貴将君も、京都でジュニアの大会が控えており、家族みんなで応援に行く予定にしていた。
その前に、強い父親の姿を見せることができた。息子たちとの約束を果たせた。
「気分爽快!!やったぜっ!って感じだよ!」。
渾身のプレーはその1打1打、すべてが子供たちへのメッセージ。
鮮やかな大会カラーのチャンピオンブレザーに、ようやく袖を通した喜びに、「次は“グリーンジャケット”を狙いにいこうと思います」。
つい大きなことを口走ってしまったが、あれはファンを喜ばせたくて言ったことで、まさか今さら、マスターズへの夢を本気で追いかけるつもりはない。
5月に、兵庫県の小野ゴルフ倶楽部で行われる全米オープンの予選会も、「スケジュール的にも、体力的にも無理」と断念した。
50歳も目前ともなれば、新たに目標を持つよりも、そうやって「諦めければならないことばかりが増えていく」。
しかし口ではそう言いながら、この2週連続優勝で、がぜん勇気がわいてくる。
次に掲げた目標は、今年セントアンドリュースで行われる全英オープン。
日本ツアーに大きく門戸を開いているこのメジャー戦(※)なら、それほど無理なく出場権を狙いにいける。
「セントアンドリュースには、思い入れがあるからね。実際に出られて、結果的に恥をかいてもいい。・・・そんな自分を、楽しめるような気もしてるから」。
7月、リンクスで格闘するジョー尾崎が見られるかもしれない。
※今年の全英オープンは、6月のミズノオープン(岡山県・JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部)の上位4人と、5月の日本プロゴルフ選手権(熊本県・玉名カントリークラブ)から、ミズノオープンまでの獲得賞金を合わせた、いわゆる“全英オープン日本予選”ランキングの上位2人に、出場権が与えられる。
そのほか、昨年のジャパンゴルフツアー賞金ランキング上位者2人(片山晋呉、Y・E・ヤン)と、昨年の日本オープンゴルフ選手権の優勝者(谷口徹)にも出場権が与えられることが決まっており、ジャパンゴルフツアー枠としては、最終的に合計9人の選手が資格を得られる予定だ。
またこのほかに、世界各地のコースで行われるインターナショナルクォリファイング(IFQ)に挑戦して、出場権を得ることも可能。