先週のマンシングウェアオープンＫＳＢカップでツアー初優勝。武藤の活躍に、がぜん色めき立ったのが、ＱＴ組の選手たちだ。ファイナルＱＴランク35位からの大躍進に、「俺も武藤に続きたい」という選手が続出だ。

特に、同世代の選手たち。
「僕には、同級生が多いんです。しかもいつ勝ってもおかしくない、力を持った選手ばかりなんです」（武藤）。

そのうちのひとりが、この日68をマークした定延一平（さだのぶ・いっぺい）だ。
ファイナルＱＴの資格で本格参戦するようになってから、いつも武藤と一緒に行動してきた大親友でもあるが、プレースタイルは対照的だ。

豪快な飛距離を武器に、爆発力が持ち味の武藤に対し、定延は「しぶとくやるタイプ」。
先週のようなバーディ合戦は、むしろ苦手。
「耐えて耐えて、たまに取るのが僕のスタイル」というから、今週のような難コースにはうってつけだ。

前日初日の夜、武藤と２人でささやかな祝宴を持った。
「近くの居酒屋でご馳走して･･･。しょぼいけど、いちおうお祝いです」と、定延。
向かい合って乾杯をして、取り留めのない話で盛り上がった。
優勝した翌週なのに、以前とまったく変わらない。「いつもの真面目な武藤くんのままだった」。
安心すると同時に、「自分も」という思いがムクムクとわいてきた。

「武藤くんみたいにいきなり優勝･･･というのは無理かもしれないけれど。僕もできるだけ上位でやりたい」。
静かな闘志を燃やしている。

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• 武藤 俊憲