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ウッドワンオープン広島ゴルフトーナメント 2006

檜山敏行「いま持っている力を出し尽くす」

2日連続の60台をマークして、いっせいに報道陣に囲まれた檜山に冷やかしの声が飛ぶ。
「おーい、そんなに囲まれちゃって」
「大丈夫か、緊張して喋れるか?」
「何かの間違い!?」
「まぐれ、まぐれ!」
「たぶん、一生に一度のことだ」
遠慮のない言葉にも、本人は素直にうなづいた。
「ハイ、自分でもびっくりするようなスコアです」。

2週前のミズノオープン。第1ラウンドで、2アンダーで回って10位タイにつけながら、第2ラウンドで76を打って予選落ち。
先週のUBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズでも、初日9位タイでスタートしながら、3日目に77を打って転落している。
「調子に乗って、次打っちゃうのがこれまでの俺」。
そんな檜山を戒めてくれた日大の2つ先輩、川岸良兼からは賞賛の声が飛んだ。
「檜山! ナイスプレー!」。

プロ13年目の今季、ファイナルQTランク46位の資格で取り返した、99年以来のツアーの出場権。
2000年に「3ヶ月寝たきり」というほどひどいヘルニアを患ってから、6年ぶりに復帰を果たした今年は、開幕から手ごたえがあった。
安定したショットが持ち味。フェアウェーキープにも自信があった。
しかし、そのわりには結果が出ない。
妻・記代美(きよみ)さんに、ポツリ、と言われたのは先月。
「・・・ということは、調子が悪いってことなんじゃない? 自覚して、もっと謙虚に練習してみたら?」。

このひとことに発奮。1日800球のノルマを課して、丁寧に打ち込んだ。
「打ってるうちに、今まで焦ってゴルフやってたな、って」。
ボギーにもバーディにも、一喜一憂せず、「とにかく1打1打、全力を尽くす大切さ」に、気付かされたという。

今大会終了後、昨年のチャレンジツアー賞金ランク上位5人と昨年のファイナルクォリファングトーナメントで構成されている、シード権を持たない選手の出場優先順位の見直しがされる。

昨年12月のアジアジャパン沖縄オープンから今大会までの獲得賞金額をもとにリランキングされたこの順位は、7月20日に開幕するセガサミーカップから適用される。

檜山のリランキング順位は、現在44位。
この1戦で、一気に巻き返しといきたいところだが、「自分と、今のトップと技術、経験の差がどれほどのものか。自分で一番、分かっているから。背伸びしないでとにかく今は、持っているものを出し尽くすしかない」と、欲はない。

檜山敏行ひやまとしゆき
1969年3月15日生まれの37歳。身長180センチ、体重88キロ。ゴルフが趣味だった父の影響を受けて、本格的にクラブを握ったのは15歳。名門・日大に進み、レギュラーで活躍した。
師匠は、2つ先輩の川岸良兼。「アニキがいなかったから、今の僕はいない」というほど、信頼を置く。
93年にプロ入り後、2000年にヘルニアを患ったつらい時期も川岸の存在が支えだった。
栃木県宇都宮市にある大型新聞販売店『坂田新聞店』所属。
ファイナルQTランク46位の資格でツアー復帰を果たした今季、坂田一郎社長には、「試合に専念するように」と言ってくれているが、月末には軽自動車で100軒もの集金に回るなど、義理固い一面も。

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