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サントリーオープンゴルフトーナメント 2006
宮里優作「ゴメン・・・」
すれ違いざま、息子は小さく謝った。
「ゴメン・・・」。
「気にするな、仕方ない」。
その短い親子の会話の中に、どれほどの思いが詰まっていただろう。
最終日は、単独首位からのスタート。
待望のツアー初優勝のみならず、今回は兄妹同時優勝の記録もかかっていた。
周囲の期待を背負って立った1番ティ。
「・・・さすがに、緊張していた」と振り返る。
この日総武の森に吹き荒れた強風が、さらに優作を翻弄する。
「横の風、前後の風・・・。読めないために、打つ方向の幅が狭くなってしまった」。
なんとかパーでしのいで迎えた前半の9番で、とうとう均衡が崩れた。
左ラフからの第2打をバンカーに打ち込んだ。
寄せきれず、6メートルのパーパットは微妙な距離を残して3パット。
「これで、気持ちが切れたわけではなかったけれど。ただ、体が動かなくなってしまって・・・」。
このダブルボギーをきっかけに、バック9でボギーを重ねた。
アマで3回、プロで6回。最終日最終組で回ったのは合わせて9回あるが、アマ時代でさえ優勝争いのさなかに、これほど大きく崩れたことはなかった。
これについて優作は、「気持ちが、まだ切り替えられていないのかもしれない」と、言った。
「アマのときはただ、上を目指して行くだけで良かったけれど。プロになればいろいろリスクを負わなければいけなくなるので・・・」。
帰国第1戦でいきなり優勝した妹・藍さんとはあまりにも明暗を分けた結末。
「今日は、流れがつかめなかったのと、逃してしまったのと両方ですね。あとはヤンさんが良すぎたことでしょうか。・・・自分のことで精一杯で、藍ちゃんのことは考えられませんでした」。