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ANAオープンゴルフトーナメント 2006

芹澤信雄「ツアー界の“ちょい悪オヤジ”を目指します!」

プレー後の練習グリーン。中嶋常幸が、笑顔で寄ってきた。「おい、芹澤! びっくりしたよ〜。オマエ、生きていたんだな!」。
恐縮しきって、芹澤が答える。
「はいっ! 私セリザワ、まだ生きておりました。明日は、よろしくお願いします!」。

強い風が吹き荒れたこの日3日目、ベストスコアの66をマークして通算6アンダー4位タイに浮上した芹澤は最終日、最終組のひとつ前で中嶋と優勝を争うことになったのだ。

「・・・僕は、中嶋さんの怖さを一番良く知ってる世代。明日は、心して回らしてもらいます!」ともういちど、大先輩に深々と頭を下げた。

昨年から生涯獲得賞金25位以内という出場資格が、1シーズン1回しか適用できなくなった。
芹澤は昨年、その出場権を行使したものの、賞金ランクによるシード権を獲得できず、なおかつ出場優先順位を決めるファイナルQTで、ランク54位にとどまった。

ほとんど出番がない上に、持病の左肩痛が悪化して今年、出場11試合中予選落ち8回。
賞金ランクは136位にとどまって、ツアー通算5勝の人気者が青息吐息だ。

「今週は、久しぶりに予選通過できて『あ〜良かった』というレベル(笑)。それが、あれよあれよとこの順位ですもん。中嶋さんの言うとおり、自分でもびっくりですよ!」。

この日3日目は強風が吹き荒れたが、「もともと、風は苦じゃないから」。
得意のコントロールショットを駆使してスコアボードを駆け上がった。

「ボギーを打つ気がしなかった」というほど、冴えに冴えたパッティングは8月のシニアトーナメント「ファンケルクラシック」で、ヒントを得た。
テレビ解説者として、優勝した室田淳のプレーを仔細に見つめるうちに、ひらめくものがあったのだ。

さらに今週初日の終了後、練習場で水巻善典と「スイング談義」。
若手の台頭著しいが「それでも、年寄りは年寄りの良さを生かして楽しくやろうよ!」と、意見が一致したことで吹っ切れた。

ふいにめぐってきたチャンス。
「優勝を狙う・・・なんてのは、おこがましいけれど。せめて5位に入って来週の出場権!」と、気炎を上げた46歳。
これまでは「中年の星になる!」が口癖だったが、これからはフレーズを変えるつもりだ。
「ツアー界のちょい悪オヤジ。・・・これで、行かせていただきます!」。
いくつになっても、カッコよい生き様を見せるためにも、来年の出場権は必須だ。

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