Tournament article
日本オープンゴルフ選手権競技 2006
豪州のポール・シーハンが71代目の日本チャンピオンに
日本に来て4年目。
この国が、どれほど好きかということ。
そして、このジャパンゴルフツアーをどれほど気に入っているか、ということ。
「食べ物は、美味しいものばかり。・・・特にサシミが大好きです。そして、どこへ行っても素晴らしいコースと、あったかくて優しい人々と・・・。僕がこうして日本で戦えるのは、ほんとうにみなさんのおかげなんです」。
日本での生活を応援し、支えてくれた人たち全員に、「この場を借りて感謝の気持ちを伝えたい」とシーハンは言った。
「・・・なかなか、こうして直接言える機会がないから」と。
シーハンにとって、今年、大好きな国のNO.1プレーヤーを決めるこの大会で、勝つことに意味があった。
日本への参戦は、今年で最後になるかもしれないからだ。
2月の米二部ツアーのネーションワイド『ジェイコブスクリークオープン』で、プレーオフ2ホールを制した。あと3試合を残して現在賞金ランク12位は、来季の米ツアーの出場権を狙える位置にいる。
時差わずか1時間。母国と日本は行き来にも便がよく、寂しくなればすぐにでも、妻ジャッキーさんと長女ビリーちゃんが待つ自宅に飛んで帰れた。
この日18番グリーンで、優勝を祝ってくれたブレンダン・ジョーンズら、気の良い仲間にも恵まれて、めっぽう居心地が良かった日本ツアー。
最高の環境を捨てて、大海に漕ぎ出すことにはやはり、躊躇がある。
「・・・でも、アメリカで戦うことはゴルフを始めたときからの夢。キャリアを積むために、もうすぐ、難しい決断を下さなねばなりません」。
アマチュア時代、チームメイトでしのぎを削った同郷の友人、ジェフ・オギルビーは今年、全米オープンを制した。
「彼はもともと、僕なんかよりずっとレベルが上だったけど。僕も、彼を一生懸命に追いかけていかないと」。
まだ、はっきりと確定はしていないが、ほとんど気持ちは決まっている。
片山は「連覇は僕の使命」と言って、相当な意気込みでこのナショナルオープンに臨んだが、熱い気持ちはまた、シーハンも同じだった。
旅立ちを目前にして節目のこの年に、「大好きな日本」で頂点に立つことに、並々ならぬ思いがあったのだ。