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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2006

中川勝弥「ウッズを見習って・・・」

約1年前のあの日が蘇る。11月のダンロップフェニックス。背筋痛を訴えていた片山晋呉が、初日のスタート前に急きょ欠場を決めた。代打で権利を得たのが、現地ウェイティング制度を利用して、出番を待っていた中川だった。

もともと、日本の賞金王が回るはずだったのが、タイガー・ウッズとマイケル・キャンベル組。
世界ランク1位と、その年の全米オープンチャンピオンという豪華な顔ぶれに放り込まれてガチガチだったが、その中で得がたい経験をした。

「ウッズの精神力」。

どんなピンチも顔色ひとつ変えず、冷静に向き合う姿勢。
どんなミスもたちまち気持ち切り替えて、平然とバーディを取ってきた。
そして、プレーの合間はとてもリラックスした表情で、キャディとのおしゃべりを楽しんだりしている。

「・・・僕も見習わなければ」。

そう痛感させられた記憶は、今でもくっきりと頭の中にある。

あの日の再現が、この日の17番パー3。今週の初ボギー。
「・・・それまでにも、いつボギーが来てもおかしくない状況だった。かえって、ボギーが来て安心した」と前向きに捉え、次の18番で残り119ヤードの第3打を右奥1メートルにつけた。
先の分を、しっかりと取り返した。

この最後の巻き返しに、「楽しんでゴルフをすることが、スコアにつながる」と、ますます確信したという中川。

だが本当ならばいま、とても楽しんでやれる状況ではない。
現在賞金ランク85位は、シード権確保にはまだまだ遠い。

初シードの2002年から毎年、ボーダー線上の戦いに忸怩たる思いはあるが、こんなときこそウッズの教えを生かしたい。

幸い、ショットの調子は日に日に上向きだ。
5年間愛用してきた中尺を手放して、今年短い丈に戻したパッティングも好調だ。
「明日も楽しみながら1打1打、地道に行きたい」。

そして、12月に出産を控えている妻めぐみさんに良い報告がしたい。


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