Tournament article
ABC チャンピオンシップ 2006
Y・E・ヤンはプレーオフの末に2位に「でも、悔いはありません」
プレーオフ2ホール目。ヤンはティショットを左斜面のラフに打ち込んだ。
ピンまで190ヤードの第2打は普通にスタンスすれば、改造されて、昨年よりグリーン方向へ15ヤード広げられたバンカーに右足がかかってしまう。
砂に足を取られて、打ちづらくなる。
さらに前方には、古い松の木。さらにその奥には池が大きく口を開けている。
「客観的に見て、僕なら100%刻む場面」。
確かに、ヤンにも一瞬の逡巡はあった。
「刻むか、狙うか・・・」。
構えてから2度、クラブを持ち替えたほどだ。
しかし常に強気なコリアンは、その先にあるグリーンしか見ていなかった。
ツアーきっての飛ばし屋は以前、こんなことを言っていたそうだ。
「僕は、パー5なら全部狙う。絶対に刻んだりしない」。
どんなピンチを迎えても、その信念を曲げたりしたい。
その前のプレーオフ1ホール目も、やはり同じようなライだったが、前が開けていたこともあり、躊躇なく狙い左奥のバンカーに打ち込んでいる。
「今回こそグリーンに届くかどうか・・・。確率は50%だとは思ったけれど。もし、グリーンに乗せることができればチャンスだ、と」。
バンカーを避けて、左足上がり不自然な姿勢で構えた5番アイアンはしかし、思ったよりクリーンにヒットできなかった。
今季2勝目は、池に沈んだが悔いはない。
「今日は17番、18番のバーディで追いついてプレーオフ。勝てなかったのは惜しかったけれど、でも満足ですよ」。
賞金王と、最後までデットヒートを繰り広げた充実感。
チャンピオン片山も、振り返った。
「ヤンさんのあの素晴らしい戦いぶりがあったから、大会が盛り上がった。僕も燃えた」と。