Tournament article

コカ・コーラ東海クラシック 2007

石川遼くんが3試合連続の予選通過

この日2日目のラウンドを「ゴルフ人生で、珍しい。ほとんどなかった内容」と表した。特に前半の9ホールはすべてパー。それも、そのほとんどがピンチの連続。

フェアウェーをキープできない、グリーンに乗せられない。
これまでになかった我慢を強いられた。いつもの笑顔もたびたび消えた。
いつになく浮かべた厳しい表情。
しかしそんな苦しい展開も、石川くんはゴルフを楽しむ心を失ってはいなかった。

7番パー5では、新しい技を試した。カラーに近い花道からのアプローチは、パターを使えば石や砂利に弾かれる可能性もある。そこで握ったのは3番アイアン。「クロスハンドに握り、左手だけシャフトにかかるくらいに短く持って、パターと同じストロークで打つ」。杉並学院高の先輩、薗田峻輔くんから伝授され、練習で試してきたことを、実践でトライ。
「振り幅はほとんど勘で。これだと、9番アイアンやPSに比べて、カラーを超えてすぐのところに落とせるから」との解説どおり、みごとピンそばにつけてパーセーブ。

三好名物の16番パー3では、左の傾斜に打ち込んだ。
高低差が5メートルあるガケの途中で運よくボールは止まったが、カップはもちろん、ピンフラッグも上から約20センチほどしか見えない。

プロも青くなる状況で、石川くんはこう言ってのけたのだ。
「ティショットを左に外した時点で、あそこから打つのが楽しみだった」と。
サンドウェッジでフワリとあげて、ピンそば1.5メートル。最大のピンチをしのいで、この日一番のガッツポーズも飛び出した。

バーディの数は、本人の希望よりは確かに少ない。
しかし、再三のパーセーブはその何十倍もの価値がある。

極度の忍耐を強いられながら、「守ろうと思ったホールはひとつもない」。
最後まで、攻めの姿勢を忘れなかった。
「今日は幸せな気分でプレーができた」と、石川くんは言った。
我慢の9ホールが、後半のラウンドに生きた。

この日の1アンダーは、同組のカミロ・ビジェガスを上回るスコア。
通算1オーバーは、首位と5打差の13位タイ。
「プロとの5打差は遠い5打差だけれど、あと2日もある。ここで諦めたら意味がない。最後まで頑張ることが、これからのゴルフ人生に生きてくるから」。

16歳は、どんなときも前だけを見ている。

関連記事