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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2007

今野康晴「どれだけ良いショットが打てるか」

9月のANAオープン。篠崎紀夫と、タイのチャワリットプラポールとのプレーオフで、2ホール目に敗退した。翌週には「惜しかったね」とか、「勝てるときに勝っとかないと」と口々に言われたが本人は、周囲ほどには残念と思わなかった。

「いまの状態で勝てても“ああ、優勝しちゃったんだ・・・”という感じ」。
きっと喜びは薄かっただろう、と思うからだ。

年間2勝をあげて、自己最高の賞金ランク2位につけたのは2005年。
当時は、ドローボールで打っていた。「本当は自分はフェードが持ち味なのに・・・」。
コントロールができて、怪我が少ない球筋にこだわって、スイング改造をはじめるなり鳴かず飛ばず。

今季は、ようやく復調の兆しが見え始めたものの、まだ納得はしていない。
首位タイに躍り出たこの日3日目も実は満足のいくティショットはたった1度だけだ。

コーチでツアープレーヤーの江連忠には「ヤスは細かすぎるよ」と、言われる。
「そんなに気にしないで、もうちょっとアバウトに行けば」とも。

確かに、その通りに出来ればいいのだが「僕としては、無視することができない」。
確かに、ビデオに撮って自分で見直しても違いはほとんど分からない。
あくまでも体で感じるフィーリング。
「見てるほうは分からないかもしれないけれど、僕としてはごまかせない」と、頑固に言い張る。

もちろん、賞金を稼ぐことはプロとして大事なことだ。
頭では分かっているが、それでもやっぱり今野はこう思う。

「僕には、お金よりも大事なことがある」。

妻・崇乃子さんには、そんな男のロマンを話していない。道がすいていれば、コースから車で30分もかからない地元・千葉の自宅では、ゴルフの話はほとんどしない。
だから「最近、何やってんのよ」と、遠慮のない言葉をかけられるが苦笑いでごまかしている。
最終日にはもちろん家族総出で応援に駆けつけてくれるだろうが、優勝できるように頑張るよ、とは言えそうにない。

「だってごまかしながら優勝したって嬉しくないから」。
日大の1つ上の先輩・片山晋呉との優勝争いは「その中で、どれだけ良いショットが打てるかが一番の目標なんです」。
それこそが今野にとって、お金より価値あるプレー。
そこだけは、誰になんと言われようと譲れない。

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